DOLLHOUSE〜羽化〜-4
「くっ…」
指は敏感な部分をすぐに見つけだした。
「ああっ!」
また、身体が反り返る。
どんなに身体をくねらせても、手が外れない。
ちゅぷ。
下に気をとられていると、思わぬところから快楽がやってくる。
「あんっ… やっ…」
指が私の中に入ってくる。
クチョクチョとイヤらしい音が響いた。
「ちゃんと濡れてるよ」
私はまた、くちびるを噛んだ。
恥ずかしかった。こんなに身体がままならないなんて。
なにもかもがイヤだった。
「いいんだよ。快楽と感情は別物だからな。おまえがどんなに嫌がろうと関係ない。そういうふうに身体ができてるんだ。それに、オマエはあてがわれた人形の一つにすぎない」
ご主人さまが陰鬱に笑った。
この人は私をいたぶりながら、自分を虐めている。そんな気がした。
「ああぁぁぁっ。 いたいっ… はっ… あはっ…」
ご主人さまのものが私の中に入ってきた。
痛かった。けれど1年前ほどの強烈な痛みはなかった。
「1年は長いんだな。本当に綺麗になった」
ご主人さまが優しい顔をして微笑んだ。
乱れて頬に張り付いた髪をそっと流してくれる。
私はご主人さまにしがみついた。
ときめくような柔らかい顔でもう一度笑ってほしい。そう思った。
私はおそるおそるご主人さまの頬に手を伸ばした。
そっとくちびるを寄せる。
「ん」
それはいとも簡単に。拒まれることなくくちびるが触れた。
私は快楽に抗うのはやめた。
それはご主人さまに対する意地でしかなかったから。
それに。…コレが単に『手を切れば血がでる』ように、『お腹が空けばお腹が鳴る』ように当たり前のことなら抗うのはバカみだいだ。
「あっ…」
ご主人さまが動き始めた。痛みが甘く感じる。
「ぅんん… はあぁっ… あん…」
「どうした?もう逆らうのはやめたのか?」
「んっ。 ううぅん… 感情と、快楽は別、なんでしょう? あぁん… それに、今日のぉ、 ああぁ ご主人さまは 好き。 です、から、 はあぁああぁん!」
ご主人さまが私の中で震えた。
身体中の力がグッと入ったかと思うと、すぐに落ちるように弛緩していった。
ご主人さまはなんだか呆然としている。
私は今更ながら恥ずかしくて毛布に潜った。