投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

やっぱすっきゃねん!
【スポーツ その他小説】

やっぱすっきゃねん!の最初へ やっぱすっきゃねん! 376 やっぱすっきゃねん! 378 やっぱすっきゃねん!の最後へ

やっぱすっきゃねん!VK-15

 夕方。

 西に日が傾き、空が飴色に染まりだした。

「結局、見つからなかったか…」

 直也の自宅前には、10人の仲間が集まっていた。
 直也に達也、それに淳、稲森、修は、昼食を摂りながら捜索方法を話し合った。
 結果、3年生部員全員に連絡して捜索範囲を拡げることに決まった。
 そこで連絡を取って、どうにか5人が掴まり、午前中の倍、10人で捜すこととなった。
 それから5時間、各人、あらゆる場所に出向いたが、誰ひとり、佳代を見つけられなかった。

「まったくッ!何処に行っちまったんだ!バカ姉ちゃんはッ」

 修は強く足を踏み鳴らす。苛立たしさと焦りがそうさせた。

「そう怒るな。それより、今後をどうするかだろう」

 慰めとも、咎めともとれる言葉が上級生からかかる。

「後はおまえの両親次第だな」

 達也が云った。間髪入れずに直也が訊き返す。

「どういう意味だ?」
「オレ達に、これ以上の捜索は無理だ。まして、明日からは練習が待ってる。あとは親御さんが警察に捜索願いを出すべきじゃないのか?」

 冷静に分析して結論を出す達也。その態度が直也は気にくわない。

「おまえッ!仲間が居なくなったんだぞ!明日の心配してる場合かッ」

 怒声が飛んだ。が、達也はいたって落ち着いている。

「すまんが直也。オレは明日を優先するよ」

 今のひとことで、直也の怒りはピークに達した。

「佳代は仲間じゃないのかッ!ソイツが居なくなってんだぞ」
「おまえの気持ちは分かるよ。でも、オレは青葉のキャプテンなんだ」
「きさま…」

 互いの双眸が睨み合った。
 今にも掴みかからんとする2人の間に、修は飛び込んだ。

「ふ、2人とも止めてッ!悪いのは姉ちゃんなんだからッ」

 その目は涙で濡れていた。


やっぱすっきゃねん!の最初へ やっぱすっきゃねん! 376 やっぱすっきゃねん! 378 やっぱすっきゃねん!の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前