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「瓦礫のジェネレーション」
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「瓦礫のジェネレーション」-43

しかし、葉子から伝え聞く美咲の様子は意外なものだった。
「美咲さん、前より女っぽくなってすごく綺麗になったし、陸さんともすごくラブラブで、多分あの二人近いうちに一緒に住もうなんて話になってるんじゃないのかな」
(ラブラブだと?不感症を女にしてやったのは俺だった筈だ。……そうか、俺とのことは隠して、輿石の次男とくっつこうってハラか。ちくしょう、俺をコケにしやがって)
市丸のイライラは募った。


岳人は陸と康浩を伴って江口組の事務所へ赴いた。
「これはこれは、輿石代議士の息子さんがどういったご用件でしょうか?」
江口亘・江口組組長はうろたえていた。輿石の息子だけならまだしも、滝本の親父さんの孫まで……。
「今日はこちらの輿石陸と共に塩飽コーポレーション社長・塩飽誠氏の代理として参りました。単刀直入に申し上げます。S県から手を引いていただきたい」
「それはまた随分と単刀直入ですね。塩飽と輿石との癒着っていうのはどうやら噂以上らしい」
「癒着というのは正しくないでしょう。いずれ近いうちに親戚になるのですから」
「親戚?というと、塩飽のお嬢さん……美咲さんとおっしゃいましたっけ?あちらの方とご婚約でもなさったんですか?」
(どうやら市丸の言っていたのとは随分話が違うようだ。あの男もヤキがまわったか?そろそろ切り捨て時かもしれないな)
「私ではなくここにいる弟がですけどね。まだ正式なものではありませんが。それから、こちらが滝本康浩君。どういう人間かは、私より江口さんの方がよく御存じでしょう?」
「ええ、まあ。滝本の親父さんには私も随分とお世話になりましたからね」
「ならば、なぜ彼がここに来たのかもわかりますよね?」
「……つまり、事の次第によって滝本の親父さんにも話がいくと……」
「お話が早いですね。もちろん、ただ手を引けってことではありません。それなりの見返りは用意させてもらいます。県境のリゾート開発についてはそちらにおまかせするように取りはからいましょう。江口さん、それで十分だと思いますが」
江口はほんのわずかしか考えなかった。塩飽を配下に治めS県を手中にいれられる可能性はそれほど高くないのはわかっていた。ならばリゾートの件がこちらに転がり込んできただけで十分成功と言えるだろう。
「……なるほど。わかりました。それで手を打ちましょう」
「あ、そうそう、もう一点。市丸良平についてなんですが」
「市丸ですか? あれはもう用済みです。好きにしていただいて構わない。当然こちらとしても縁切りですがね」
「では、それを、この場ではっきり確約していただけますね」
「構いませんよ」

「はい、市丸です。……江口さん、いや、そんな……そんなことはありませんよ。ただちょっと予定より手間取ってはいますが……手打ち?塩飽社長とですか?そんな……待って下さい。他にもいい話を持って……もしもし、もしもし」

「これでよろしいですか?輿石さん」
「ええ、私の方は異存ありません」
「では、リゾートの件よろしくお願いいたします」

「康浩の爺さんってそんなに大物だったんだな」
「まあ、ね。江口って聞いてピンときたんだ。昔爺さんの運転手してたんだよ。あっちの世界では世話になった人やその身内の顔を潰すなんてことは大変な恥だ。たとえ爺さんがとっくに引退してて、その息子である親父や孫の俺がカタギだとしてもね」
「それに、新興だけあって資金的にはちょっと苦しいんだな、江口組は。だから一発逆転で塩飽まるごとを狙うよりも、リゾート利権でそこそこ潤った方がマシって判断になる筈だ。まあ、二人とも御苦労さん」
「……ていうか、兄貴と康浩だけで大丈夫だったんじゃないのか?あれだったら。なんか俺が来た意味があんまりないような……」
「いやいや、ガタイのいいのがいるとハッタリが効くだろう?それに一応俺は議員秘書だから、形式的にはお前を表に立ててそれに付き添ったんでないとまずいんだよ。じゃあ俺は塩飽のおじさんのところへ報告に行ってくるけど」
「了解。気をつけろよ、兄貴」
「大丈夫大丈夫。それより美咲ちゃんによろしくな」


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