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……タイッ!?
【学園物 官能小説】

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……タイッ!? 第四話「暴きタイッ!?」-57

「うん、俺も……」

 頷き、傾き、そのまま倒れこむ。

「ん」
「久恵……」
「あのね、私……、昔、保育所の頃ね、かけっこで一番を取ったの」
「へえ……」

 聞いているようで無関心。紀夫はただ本能の赴くまま、開かれた身体をさすってい
る。

「そうしたら、パパとママ、来てくれるって思った」
「フンフン……それで……」

 芝生を掻き分け、しなしなな皮に覆われた勃起するものをいじくると、彼女は話を
遮るように身をよじる。

「ん、もう……やだ! 人が話してるときに……」
「ごめんなさい」
「いいよ、もう……。それでね、見事久恵ちゃんが一等賞! だけど、ね……。二人
とも来ないし……。私は先生と一緒にお昼ごはん。しかもコンビニのカラフルなの」
「それは……」

 自分には関係ないこと。だからキスをしよう。悲しい過去を持つ彼女にキスをしよ
う。そうして慰めるんだ。お互いを……。

「授業参観……も、運動会も、ん! 中総体も、入学式は……あはぁ……どっち……
が来たっけ……、忘れちゃったよ」

 未熟な割れ目を舌先で弄り、とろりと零れる酸っぱい水を舐め取る。

「高校ってさ、レベル高いよね……あたし、全然ダメだもん」
「レベル?」
「えっと、陸上ね? 中学の時なんか結構いけたんだよ。それなのに……全然……」
「先輩……」
「勉強だってそう。一番なんて気が遠くなる」
「そんなのいいじゃないですか……それよりも今は……」

 彼女の痛々しい思い出話に萎える分身。それを鼓舞するためにわざとらしく「ジュ
ルリ」と音を立てて吸い付くも、気持ちは下がりっぱなし。

「でもね……もういいの」
「え?」
「君にね、君が甘えさせてくれるから……」
「俺が?」
「君と一緒に寝た日、あ、エッチとかじゃなくてね。その一緒にいたでしょ? 嬉し
かった。だって、目が覚めても一人じゃないんだもん。君が間抜けな顔して涎垂らし
てさ、隣にいるの……」

 自分が目覚めたときは既に彼女はいなかった。きっと自分は遊ばれていたのだろう
と思っていた紀夫だが、実際は彼女の照れ隠しだったのかもしれない。

「だからがんばって朝ごはん作ったの。君が私を好きになるようにさ……」
「はい、すごく美味しかったです」
「けど君もいなくなっちゃう……」

 あの日彼女が言いかけた言葉は、もしかしたら「一緒に病院に来てほしい」だった
のかもしれない。
 束の間の恋人気分、一人じゃないことを確かめたかったのだろう。
 だが、それは今の紀夫にはなりえない立ち位置。本当の気持ちに気付いた今では……。


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