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……タイッ!?
【学園物 官能小説】

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……タイッ!? 第四話「暴きタイッ!?」-20

「先輩……」
「今日も親、いないし……」
「先輩……」

 目を瞑る久恵。

 このまま……。




「スー、スー……」

 続く寝息に気持ちが萎える。
 起こして……してもいい。
 が、手首に触れる彼女の指が、それをさせてくれなかった……。

**――**

 朝目が覚めると、昨日とは違った良い匂いがした。
 半分開いたドアからは味噌の香りと包丁のトントンという小気味の良い音。そして
何かを焼く「ジュー」と油の跳ねる音。

「あれ、ここは?」

 見慣れないタオルケットと高さの違う枕。携帯の着信履歴には母親から数件と理恵
からのオハヨーメール。時間を見ると午前七時。

 ――先輩の部屋……。泊まっちゃったの?!

 飛び跳ねるようにベッドから降りた紀夫は急いで久恵の姿を探す。途中親御さんに
会わないかと怯えながらも、彼女の「いない」の言葉を思い出す。

「先輩? 久恵先輩!」
「あら、起きたの? 今ごはんできるとこだけど、待ってなよ……」

 制服姿にエプロンをまとったいつもの……よりも魅力的な久恵の姿にしばし見惚れ
る紀夫。
 地味なイメージの久恵も笑えばそれなりにかわいらしく、幼な妻という卑猥な妄想
がそれを加速させ、換気扇から入る光が髪に反射してきらきらとデコレートしていた。

「久恵先輩……」
「どうしたの? ほら、座ってて……」

 昨日の一幕はなんだったのか?
 それを忘れたくなる、そんな朝の始まり方……。

 味噌汁に白いごはん、それに納豆、もしくはハムエッグがあれば充分。
 けれど久恵の用意した朝食はシメジとネギの香ばしい香りのする白身魚のホイル焼
き。上に乗ったバターが溶け出し、食欲をそそる。
 サラダは大きめの器に盛られ、レタスとコーン、他にトマトやキュウリの季節の野
菜の添えられている。

 ――こういっちゃあれだけど、理恵さんよりずっと家庭的かも……。

「それじゃいただきます」

 久恵はエプロンを空いた椅子にかけると紀夫に構わずアルミホイルをはがす。

「あ、はい、いただきます」

 一手遅れて紀夫も箸を取る。
 味噌汁を飲むと赤味噌のコクのある味わいとジャガイモとワカメが良い感じにほぐ
れる。
 サラダは出来合いのドレッシングの中に香ばしいかりっとしたものがあり、食感が
良い。
 白身魚は季節はずれの鱈だが、足りない脂をバターが補っており、シメジが味を引
き立てる。


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