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LAST DAY
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LAST DAY-4

【LAST DAY】





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 大きなことを成し遂げたことなどない。でも、自分にはその力があると思う。今はそのときでないだけなのだ。我慢のときなのだ。だから仕方がない。辛いことも我慢しなくちゃいけない。やりたくないこともやるし、やりたいこともやらずにいる。仕方がない。今はそのときじゃない……


「あはは、いい訳っていうんだよ、ソウイウの」

「……子供にはわからないさ」

「そうだね。それできみはいつから我慢してるの?」


 専門学校へ行くことを我慢して親の勧める高校へ入った。就職して修行をつむことを我慢して大学へ進学した。そして今、やりたくもない訪問販売の仕事を、我慢して、やっている。
 ああ、俺は、子供のときから我慢ばかりしているんだ。


「……そんなこといったって、仕方ないじゃないか……」

「『仕方ない』、『我慢しなくちゃいけない』、『今はまだ』。ねえ、誰にいい訳をしてるのさ。あのさ、教えてあげようか迷ったんだけど、きみなんかカワイソウだから、教えてあげる」

「なんだよ」

「あのさ、今日で最後だよ」

「……はあ?」

「明日で世界、終わるよ。今日が最後の日。だからきみの我慢も後悔も全部、終わる。なんにもならずに終わるよ。残念だったね」


 この子供は一体何をいいだすのか。思えば最初から変なやつだとは気づいていたのだ。仕事がうまくいかずにこうして公園でサボっていた俺に、笑いながら話し掛けてきたときから。だいたい中学校の制服を着ているのに、こんな時間にこんなところにいる。学校はもう始まっている時間だろう。それに、どうして男子の制服を着ているんだろうか。最近はそういうのが流行っているのか?
 少女は俺の疑わしげな顔をどうでもよさそうに笑うと、


「あ、信じてない」

「当然だろう」

「そう?じゃあいいけど。でもさ、じゃあきみはなんで明日があるって信じられるの」

「え?」

「誰かきみにそういった?明日で終わりじゃありませんヨ、って?」

「言われてないけど……」

「じゃあきみは何を信じて、いつの為に、我慢してるわけ?」


 どき、とした。


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