投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

イライラ風船
【その他 その他小説】

イライラ風船の最初へ イライラ風船 0 イライラ風船 2 イライラ風船の最後へ

イライラ風船-1

『あぁ…イライラする。』

スズキは学校帰りの道で、舌打ちをした。

『なんで僕の周りは、こうもイライラする奴らばかりなんだ。』

分かりきった単純なことを繰り返し言う怠慢な教師。

明日のことなんて何も考えていないクラスメイト。

ロボットのように動く店員。

動作の遅い電子機器。

電車通学。

人混み。

視線。

言葉。


…全てが神経を逆撫でする。

スズキが腹立たしさに息を吐き出して家の扉を開け、自室のドアを乱暴に開けると---見覚えのない人間がこちらを向いて座っていた。

『お帰りなさい、スズキさん。』

ごく自然に呼び掛けるその声は高くも低くもなく、その容姿を見た限りでは果たして若いのか年老いているのか、それどころか、女なのか男なのかすら分からなかった。

『なんだ、誰だよお前。どうやってここに入った。』

一応聞いてはみたが、スズキは目の前にいる人物に対して、なぜだかそれほど不信感を抱いていなかった。

その心を知っているかのようにその人物は優しく微笑み、スズキの質問に答えた。

『私が誰であるかはあなたが決めることです。私はここに入ったわけではなく、ただ、ここにいるんです。』

スズキはその言葉に首を傾げる。

『あんた、名前は?』

『私に名前はありませんよ。そうですね、ヤマダとでも呼んで下さい。』

『はあ?』

わけのわからないことを言う奴。

スズキが苛立って舌打ちをすると、ヤマダは深く息を吸った。

すると、スズキの心は少しだけ穏やかになった。

『…?』

『私は、あなたの話を聞き、あなたの苛立ちを無くす為にここにいるんですよ。』

ヤマダは、全てを悟ったような瞳でスズキを見る。

『勝手にしろ。』

スズキは吐き捨てるように言ったが、悪くない、と思った。

…利用出来るものは、全て利用するだけだ。


イライラ風船の最初へ イライラ風船 0 イライラ風船 2 イライラ風船の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前