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ハエ男の悲劇
【ファンタジー 官能小説】

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ハエ男の悲劇-2

じゃあさ…
トランプゲームなんかでジョーカーが誰のどこにあるかとか、勝負に出る相手がどんな手で出るかとか…


そんなのも…
要領の問題だって?

そりゃ、そうかも知れないけどさ。

僕の感じ方は他人とは違うんだ。


わずかな体温の変化で分かるのさ…


最初のうちは僕自身もそれに気がつかなくてね。
なんでこんなつまんないゲームがそんなに面白いんだろう?

何でみんなそんな事をいちいち真に受けてるんだろう?

…と、いつも疑問を感じてたんだけど、いつからか僕の持つ勘は他の大勢の人にはない事だという事に気がついたんだ。


どう?これ凄くない?

いつしか僕も中学生になって、そこで問題が起きたんだ。


僕は女の子が好きだった。

女の子がそばにくるとふわっと優しい気持ちになれるから…


それでさ…
隣の席に前田さんって子がいたんだよね。

長くさらさらした髪はちょっと栗色していて、肌が白いんだ。

二重のくりんとした目をしていて、話しかける時に彼女は内緒話しするみたく口に手をあてながら小声で話すんだ。

つまり、会話する時に相手の顔を引き寄せる癖があったんだ。

僕はとりわけ彼女に優しくした。


最初はよかった。

僕は前田さんに優しくできて、前田さんも僕といると優しくなるんだ。


でも、いつからか彼女の体温の上がり方に異変を感じ出したんだ。


それから、僕にあまり優しくなくなっちゃったんだ。

ショックだった…

何でだろう?
前田さんの体温はとっても上がっているのに…


そしたら彼女、僕にこう告げたんだ。

[ あんまりくっつくと恥ずかしいの…
みんなが見てるじゃない? ]


その時の彼女は前と変わらなかった。

それで僕は機会を見てさぁ。
ノートの端っこにこう書いて彼女に見せたんだ。

[ 今日僕の家にこない?
新しいゲームを仕入れたんだ ]

彼女は僕を見てコクリとうなずいた。


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