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なにげない一日
【家族 その他小説】

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なにげない一日-1

鬼のような夏休みも終わってまたいつもの毎日が始まった。

朝からひたすら家事。
いつまでたっても学校の支度をしない長男にイライラして、朝ご飯も食べずにふざけ合ってじゃれてる次男と三男にイライラして―――

私は元々怒りっぽいわけでも気が短いわけでもない。むしろおおらかな人間だった。
それが最近じゃ、そんな面影どこにも見当たらない。
毎日毎日怒って怒鳴って…

遅刻しても忘れ物をしても叱られるのは子供。
ほっとけばいいんだ。
分かってるのに口やら手を出してしまう。
結果、イライラする。
これが私の…、いや、子を持つ母の日常だ。


子供を学校へ送り出した後は、次男と三男を幼稚園へ連れて行く大仕事が待っている。
自転車の前と後ろに、もう決して軽くない男の子二人を乗せてふらつきながら片道十分の道のりを急いだ。
自転車三人乗り禁止なんて知るもんか。
こっちはエコにも脱少子化にも協力してんだから、逆に褒めてほしいくらいだ。

自分勝手な持論を心の中で呟いて、息を切らしながら緩やかな坂を登った。




今日は主婦仲間とのランチ会。
近所のパスタ屋に集まって旦那子供パート先なんかの愚痴を吐き出しまくっていた。

そんな時に飛び出したのがこんな質問。

「主婦の幸せって何だと思う?」

唐突に投げ掛けられた問いに、その場にいる全員の手が止まる。

「幸せねぇ…」

うーんなんてわざとらしくうなって出てきた回答。

「金持ちの旦那とか?」

彼女の旦那様はここ最近の不況で週休三日制になったそうだ。
なるほど、手取りが減ったからこその意見。

「頭の良い子供」

この人は息子がしょっちゅう居残りをさせられるのだと以前嘆いていた。

「持ち家」

古くて狭い社宅住まいの主婦はそう答えた。

そうか?
古かろうが狭かろうが、旦那の親と別居してるだけ気楽で羨ましいんだけど。

これは私の意見。


「ま、ヤバそうな会社に勤めてるって分かってて結婚したのは自分なんだけどね!」
「あたしと旦那の子で頭良いなんてあり得ないし!」
「普通にアパート借りるよりは安上がりだしね」

どんなまじめな話をしても結果笑い飛ばして終わる。
いくつになっても女ってこうだ。

結局幸せの答えは出てこず終いだったけど、パスタは美味しかったしデザートのシフォンケーキもふわふわで美味しかった。
今の私は分からないが、これらで満たされた胃袋だけは幸せに違いない。


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