春告鳥 3-1
暖かく柔らかな重みを伴った感触。
意識がゆっくりと引戻される。
くちびるになにか触れた気がして目を開けると、びっくりしたような彼女の顔。
ああ、そうだった。
僕は北野さんを…。いや、美里さんか。
少し寝ぼけていて、思い出したとたんに。
そうだ。
くちびるの微かな感触を思い出そうとした。
「…今、キスしました?」
「しました」
彼女が微笑む。
彼女からキスしてくれたのは、確か風呂に入る前だけだったのに。
「もう一度してください」
「だめです。魔法はとけちゃったんです」
くすくすと笑って、僕の額に手が伸びる。
前髪をぱさりと下ろされて、いつもの僕。
魔法。なんだっけ?
そうだ、誑し込み中とか言われて、僕が魔法って言ったんだった。
うわあ、なんて気障。…まあいいか。
誑し込みと比べたらどっちもどっちだし。
あんなにヘヴィーな夜だったのに、あっさりと柔らかな表情の彼女。
「しょうがない…」
僕は彼女の細くくびれたウエストを引き寄せた。
彼女は僕に背中を向けて、彼女の腹にある僕の手の上から自分の手を重ねてきた。
「魔法に頼るのはやめて実力行使といきましょうか」
「ふふふ、朝帰りになりませんよ?」
遮光カーテンの隙間から、光が入ってきている。とっくに明けてしまったようだ。
「別に昼でもいいでしょう?」
耳元で囁くと彼女がふふふ、と声をたてて笑った。
交渉成立。
すべらかな背中にキスをする。
くびれたウエストは僕の腕を潰さないで通してくれている。
柔らかな腹をホールドしたまま、左手で乳房に触れる。
「あ…」
背中を反らし、おしりを突き出すようにしなる身体。
乳首を捉えるとピクリと身体を振るわせた。
右手をゆっくりと腹からさらに下に滑らせる。
彼女の身体が僕の手から逃げるように伏してゆく。
白い項にくちづけて
「好きだよ。」
と、囁いた。
僕の指先は湿りを帯びた彼女の秘部に到達した。
手探りで探す、彼女の性感帯。
指の腹で、爪の先で探る。