春告鳥 2-7
「はぅっ…ん…」
乳首を口に含むと、ピクリと身体を振るわせる。
荒い息。上下する胸。
さっきは彼女が要求した行為。
「ぁん。 ん… んぁっ…」
弾力のある乳首。甘噛みして、吸い上げて。
彼女の腕が伸びて、僕の頭に触れる。
柔らかな力で押えて、ゆっくりと指を髪の中に入れてくる。
「気持ちいい?」
「ん。」
顔を上げて尋ねたら、答えてくれた。
ゆっくりと胸元から首筋を愛撫していく。
「あっ… ん… はぁっ…」
ゆっくりと引いて挿し込む。
「うっ…」
中は溶けるかのように熱い。
快楽と連動して感じるたびに締め付けてくる。
彼女の腕は、僕の背中に回された。
気持ちいい。
僕は夢中で突き入れる。
「はあっ… はあっ…」
「んぁっ… あん… あぁ…」
僕の背中に当たる指先に力がこもってゆく。
首を振りながら、湾曲してゆく身体。
「あぁ… 気持ちいぃ…あはっ…あ、あぅ、あぁぁぁ…」
「うっ… はぅっ…」
僕は彼女の中で果てた。
目を閉じて大きく息をつく彼女もまた到達していた。
懸命に僕を愛してくれる華奢で優しい身体。
愛している。
僕はその頬を両手でつつんで額にくちづけた。
「ふ…」
息を吐き出したような声で彼女が笑う。
微笑みをたたえた顔に僕の心は安らぐ。
彼女は僕との相性みたいなものを不思議だと言っていた。
それはお互い様。
一目惚れというにはインパクトの少ない出会いだった。単なるアパートの住人。顔見知り。
時間をかけて少しずつ理解を深めたわけでもなく。
それなのに躊躇なく、それこそ一瞬にして深く結びついてしまっている。
唯一無二のファム・ファタール。
ふいにそんな単語が浮かんだが、魔性というにはあまりに可愛い。
彼女の寝顔をみながら、僕はビールをまた1缶開けた。
ああ、美味い。