春告鳥 2-3
無茶はしないつもりだったのに、もう2回も達してしまった。
僕はもはや彼女の虜だった。あの男が彼女の心を潰してしまいながらも彼女を手離さなかった理由もわからなくもない。
それとも、僕がノボせているだけなのだろうか。
いままでつき合ったオンナノコの身体とは別格だと思えた。相性の問題なのだろうか。
こんなにのんびりと話しながら、セックスをしたのもはじめてだった。
乱暴に奪うような激しい行為は、男としては当然の本能のようなものだ。
激しく乱れ苦悶する表情は手っ取り早く僕を煽り、瞬時に頂上まで引き上げる。
今はそれは封じた。本当に彼女が欲しかったから。彼女の心が逃げてしまったら、身体が手に入っても仕方ない。
彼女の手首の痛々しさが暴走しそうな僕を縛った。
でも、意外と。それは拍子抜けするぐらい、僕の心も身体も気持ちよく解放させた。
ゆっくり。少しずつ。無理をさせないように。僕を刻み込んでいく。
彼女はすべて受け入れて気持ちよさそうに微笑んでくれた。
ちょっとクセになるかもしれない。
彼女が僕にピッタリと身体をよせる。
それは単に彼女の愛情表現でセックスの催促ではなかったけど、愛されていると感じただけで反応してしまう。
さっきイッたばかりなのに。もう勃って彼女を欲しがっている。
正直すぎて、我ながらあきれる。
「やばいな…」
彼女は心配そうな表情で僕を見つめている。
「どうしたの?」
「美里さんがあんまり魅力的だから。僕、ヤリたい盛りのガキみたいです」
彼女の顔はたちまち赤く染まった。言わんとするところはわかったようだ。
「でも、さすがにキツイでしょう。病み上がりだし」
僕は身体を起こした。
さすがに、これ以上は限界だろうと思う。
今の彼女に無理はさせられない。
ベッドから出ようとする僕の背中を彼女が引きとめるかのように抱きしめる。柔らかな胸が当たって暴走しそうだ。
「いいの。私、平気よ。…ううん、そうしてほしい」
背中に温かで柔らかい感触がそっと触れる。キスだ。
「本当に?」
僕は思わず振り返った。
美しい肢体が僕を誘う。
「ホント。うれしいの」
彼女は僕の目を真っ直ぐに見て微笑む。
彼女に嘘はないと確信した。それなら彼女を抱かないでいる意味はない。
だめだ。陥落だ。
誰が誑し込めなんて言ったんだ?
僕の方が無条件降伏じゃないか。
僕は彼女をゆっくりと押し倒した。軽くキスをして
「大丈夫?」
と訊いてみた。