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黒魔術師の恋愛事情
【青春 恋愛小説】

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黒魔術師の恋愛事情〜発覚-4

「真彦君…これ、使うの?」
 いきなりだがもう限界だ…。これ以上秘密には出来そうにない。真彦はそう思った。
「そうなんだ、実は…」
「すっご〜い!真彦君魔法使いなんだ〜!」
「…はい?」
 言葉を遮られ、さらに真彦にしてみればわけの分からないことを言われ、真彦自身は次の言葉が見つからなかった。
「こんなの使うってことは、きっとより本物に近づこうとしてるのね…」
 麻里は魔法陣を見つめながら感心している。
「あ!もしかしてこの前のあの人達が急にお腹押さえて倒れたの、真彦君の魔法だったのね?」
「あ、いや、まぁ…そうだって言えばそうなんだけど…」
 魔法と黒魔術は似て非なるものであると真彦は考えている。魔法は自分の魔力を使うもので、黒魔術も魔力は使うかもしれないが、むしろ悪魔の類いに力を借りるものであるからだ。それを麻里はまだ理解していない。
「凄いよ、真彦君!じゃあ箒で飛んだり、物を変身させたりもしちゃうのね?」
「いや、そういうのはやらないなぁ…」
 所詮真彦は黒魔術師。悪魔の力を借りるのだからやることは限られてくる。
「あのな、麻里。俺のやるような事は君が思っているようなかわいいものじゃないんだよ。もっと危ないものなんだ」
「ふーん…でもいいわ」
「え?」
「私そういうの好きだから。まさか彼氏が魔法使いだなんて素敵じゃない?」
 麻里の瞳はキラキラ輝いている。
(うわ〜、裏切れねぇ〜!ていうか可愛すぎだ〜!)
 真彦は自分の理性が飛びそうになるのを必死で堪えた。
「と、とにかく。このことは誰にも内緒な。学校の奴らに知られると、俺もまずいからさ」
「うん、わかった!」
 麻里は元気よく敬礼のポーズをとった。
「だからね、魔法使いさん。私に幸せを下さいな…」
「?」
 真彦はその意味が分からなかったが、麻里が目を閉じたのを見てその真意を理解した。
(なるほど…)
 真彦は麻里の後頭部にそっと手を回し、静かに麻里の唇を自分の唇で塞いだ。
「…優しいね、真彦君」
「そうか?」
「うん。もっと好きになっていきそうだよ…」
「いいよ。もっと好きになっても…。その分俺も麻里のこと好きになっていくから…」
 二人はまた、静かにキスをした。一回目よりも長く、深いキスを…。


 翌日の朝。
「よう、真彦。昨日はどうだった?」
 光輝は結果が知りたくてうずうずしている。
「まぁまぁだよ。少し勘違いされたけど」
「勘違い?」
「俺のこと、魔法使いさんだって…」
「…ぷっ!ククク…」
 光輝は笑いを堪えるのに必死になっている。
「この黒魔術オタクが…魔法使いなんて…」
「そこまで笑うか?お前は」
 真彦は恥ずかしくて顔が少し赤くなっている。
「まぁいいじゃんよ。女を家に招き入れたんだ。ヤッたんだろ?」
「…何を?」
「…何をって…彼女とイイコトしたんじゃねぇのか?」
「別に…ただ家で映画とか見たりしただけだけど?」
 平然と答える真彦に対し、光輝の顔は軽く曳きつっている。
「お前さ、昨日家に誰かいたのか?」
「別に誰も。二人っきりだったけど?」
「それで何もことを起こさなかったのか?」
「…黒魔術見せろと?無理言うなよ。っても他にすること無いしな」
(NO〜〜!!)
 笑いながら言う真彦に対し、光輝は心で泣きながらそう叫んでいたという…。


END


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