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tear
【青春 恋愛小説】

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tear-3

私達は窓縁に立った。窓を開けると、相変わらず雨がザァザァと降っていて、風は冷たかった。
私達は顔を見合わせる。
「いくよ?」
隼人の言葉に私はうなずく。
「3・2・1…」
隼人がカウントを始めた。胸が高鳴る…鼓動が早い。私はギュッと目をつむった。


…ゼロ


彼の言葉と同時に、私は指輪を思いっ切り窓の外に投げた。彼の紙飛行機みたく折り畳んだ写真も、暗闇の中に消えてゆく。
指輪を投げる瞬間。アイツの顔がまぶたに浮かんだけど、恐る恐る目を開けると、果てしない暗闇が私の前に広がっているだけだった。


「はぁ〜。スッキリしたね。」
私はソファに身を投げる。
「やっとアイツから解放される。」
私はそう言って笑った。…けど、隼人は笑顔じゃない。
「辛気くさい顔しないでよね。」
私は笑って彼の肩を叩く。
「ウソつき。」
次の瞬間。隼人の指が私の目の縁をぬぐった。拭い終わった彼の人差し指はキラキラと光っている。
「雪、無理すんな。」
隼人と目が合う。隼人は心配そうに私を見ていた。
やめてよ…せっかく笑顔でいようと思ったのに…。綺麗サッパリ忘れようと思ったのに…。
「ふぇぇ…。」
泣き出した私を隼人はギユッと抱きしめる。やっぱり隼人の胸はあったかい…。

静かな部屋の中。風が窓にあたって、カタカタ揺れていた。


…雨はまだ当分止みそうにない。


「おっかえりぃ〜♪」
玄関で隼人を向かえる。
「ただいまぁ…って、うわっ!お前また居たのかよ!!」
「ノリ突っ込み?」
私はイタズラっぽく上目遣いで彼を見る。
「…。ったく、鍵の隠し場教えてやったと思ったら毎日コレだよ…。」
マフラーを取りながら、隼人はぼやく。


あの日以来私は度々隼人の家を訪れるようになっていた。最初は一人になると元彼のことを思い出してしまうから、という理由お邪魔していたのだが、日を増す事に隼人と一緒にいるのが心地よくなっていったのだ。また前にも述べたように私は家族と離れて暮らしている。家族と離れたいがために、私は故意に自宅から離れた高校を受験し、一人暮らしを始めた。別に問題になる程家族の関係が悪いわけでもない。ただ、自分達の考えを私に有無を言わさず、押し付けてくる親の行為に息が詰まったのだ。私は親に私の言葉も聞いて欲しかった。理解して欲しかった。私が一人暮らしをしているのは、ただ、それだけの理由だ。
だから、いつでも私を受けいれてくれる隼人という存在は、こんなにも居心地が良いのかもしれない。



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