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魔法使いの告白
【女性向け 官能小説】

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春告鳥 1-1

「ねえ?」

彼女は犬小屋に手をつっこんで中をのぞき込んでいた。

「こわくないよ?」

しばらくシロをなでていたようだが、大家さんが出てきて立ち上がる。

「あ、おはようございます」
「おはよう」

傍らに置いたゴミ袋を持って歩いていく。
大家さんもゴミ袋を持っていて、2人一緒に表のゴミ置き場に袋を置いた。

彼女はそのままお勤めらしい。歩いてゆく。

「圭ちゃん、なにみてんの?」

戻ってきた大家さんが目ざとく二階の僕をみつけた。
しかたなく僕もゴミ袋を持って階段を下りた。

そもそもはゴミを捨てに行こうと思って外に出たのだった。

「可愛いな、と思って見とれてました」
「悪さしちゃだめよ」
「しませんよ」

僕は笑って答えた。

「みっちゃん、もう三年だねえ]
「ええ、この頃はいつもバタバタしてましたけど、今年は少しゆっくり出来ますよ。」

みっちゃんというのは僕の母で美津子という。
三年ほど前に病気で亡くなった。

大家さんは母の代からの店のなじみで、今でも時折、旦那さんと顔を出してくれる。
そういうツテで僕はここに住むようになった。
いろいろお世話になっていて、頭が上がらない。

「あんたも、そろそろなんとかしないとね」

やっぱりきたか。
大家さんと会うと4、5回に1度は出る話題。

「はあ。なんとかしたいのはヤマヤマなんですけどね。じゃあ、さっきの子紹介してくれませんか」

冗談だけど。

大家さんは所謂『お見合いおばちゃん』だったりする。
基本的に世話好き。

「ダメダメ。あんたは、ヤクザな商売やってるから紹介してもオンナノコが食いつかないんだよね。いい子なのにねえ。」

食いつくって。僕はヤクザな商売やってるいい子らしい。
ヤクザな条件な上に家庭環境が良くないからねえ。

「好きな子は自分でつかまえなくちゃね」
「はあ」

大家さんは手を振ると部屋に帰っていった。


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