魔法使いの告白 10-3
「ん。ホント。うれしいの」
ちゃんと圭さんの目をみて笑った。
嘘なんかじゃなかった。
気持ちよくて。何度だって大丈夫だって思えた。
圭さんが体重を掛けて押し倒す。
くちづけして、
「大丈夫?」
と、念押ししてくる。
「こんな風に何回もしたいと思ったことはないの。でも不思議。圭さんとなら大丈夫。気持ちいいの。…ね?…して」
だって圭さんを受け入れることは歓びだったから。
圭さんがさっき私からとりあげたコンドームの封を切った。
整髪料を洗い落して、髪も乾いた圭さんはいつものボサボサの頭になっていた。
くせっ毛の硬い髪。ふわりと浮き上がって、こうなってしまうみたい。
静かな寝息を立てている彼の額を上げるときりっとした眉が現われる。
キレイに整えられているけど、細くはしていない。
精悍な、男の色気とでもいうのか、少しときめいてしまう。
睫が意外に長い。気が付かなかった。
鼻筋は通っていて、
額は男の人にしては狭いかな。
目元まで伸びたボサボサの髪のせいで、普段はぼんやりとした印象にしてしまっている。
ふふ。カッコイイ。
そっとくちづけると、圭さんの目が開いた。
「…今、キスしました?」
「しました」
「もう一度してください」
「だめです。魔法はとけちゃったんです」
私はくすくす笑いながら彼の前髪をひとなでして眉をかくした。
「しょうがない…」
そういうと圭さんの腕が私の腰を引き寄せた。
「魔法に頼るのはやめて実力行使といきましょうか」
「ふふふ、朝帰りになりませんよ?」
「別に昼でもいいでしょう?」
「ふふふ」
私は笑って応えた。
fin