魔法使いの告白 10-2
「で、さっきの質問だけど。そんなわけで、僕は結構考えてしまったりしますよ。失敗した時は有無を言わさず嫁にします。泣いても喚いてももう逃がしません。」
私は笑った。心が軽い。
「でも、そういうのは基本的にはダメです。美里さんが軽く見られてしまう。まあ、僕の方の身内は姉貴夫婦ぐらいしかしかいませんけど。堕とせーだの、奪えーだの、誑せーだの言ってたのは姉貴ですから、ま、アレは考えなくていいんですけどね」
すごい。私の事を考えてくれてるんだ。
みかさんも意外に過激。
「姉貴はもともと彼にいい印象をもってなくて。割り切ってつきあってるオンナノコなら好きにすればいいけど、美里さんはそうじゃないって。そんなに凹むぐらいならアンタが取っちゃえって。なんだか、姉貴に気に入られたようですよ。どんな話をしたの?」
圭さんがふっと息をはいて笑った。
「秘密です」
私はそう答えたが、実のところなぜなのか分からなかった。
私もみかさんは好き。
綺麗で、可愛くて、優しい。あんな人になれたら、なんて憧れる。
「姉貴、て呼ぶんですね。なんだかすごく意外。圭さんいつも丁寧な言葉遣いするから。」
「まあ、僕もそれなりにヤンチャだった頃があるってことですよ。呼び方は今更、変えられないていうか。仕事の時は別だけど」
姉貴と呼ぶことが自体はさほどヤンチャだとは思わなかったけど。
いろいろあったのかな。きっとそうね。
「ん」
私は圭さんに身体をすり寄せる。
懐の深い圭さんが好き。きっと私なんかが想像出来ないことで傷ついて強くなったんだろうな。
強いから優しくなれる。
「やばいな…」
圭さんを見上げる。
「どうしたの?」
「美里さんがあんまり魅力的だから。僕、ヤリたい盛りのガキみたいです」
顔が火照る。
状況はわかった。
「でも、さすがにキツイでしょう。病み上がりだし」
圭さんは身体を起こすとベッドから出ようとした。
確かに、なんどもセックスするのはキツイ筈だった。怠くて痛くて、それでも身体は反応してた。それが孝文との行為。それでも一晩で3回なんてしたことない。
でも、不思議と圭さんとのソレは辛いとは思わなかった。
私は圭さんに抱きついて背中に頬を当てた。
「いいの。私、平気よ。…ううん、そうしてほしい」
広い背中にキスをする。
「本当に?」
圭さんが振り返る。