投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

由里子と先生
【その他 恋愛小説】

由里子と先生の最初へ 由里子と先生 6 由里子と先生 8 由里子と先生の最後へ

由里子と先生2〔特別編〜茜色の保健室で〜〕-4

教壇に立つ佐々の姿を目で追っては、教師としてではなく、1人の男として由里子に接した、あの時の激しくそして優しい佐々を、由里子はもう一度感じたいと思った。

しかし、一度だけ。と約束をした当の佐々は、あれ以来、由里子への想いを封印し続けていた。

佐々は授業中や廊下で由里子とすれ違っても、そっけないくらいに他の生徒と変わらない態度だった。

あの時のキスがなければ、今でも由里子にとって佐々の存在は、頼りがいのある担任の先生として、それ以上でも、それ以下でもなかった事だろう。

それなのに、佐々は一方的に由里子に想いを伝え、由里子の心をつかみ揺さぶったあと、すぐに教師の顔に戻ってしまった。

あの時過ごした佐々との時間は、由里子にとって特別なものだった。

しかし、佐々にとっては違ったのだろうか?

由里子はすっかり自信を無くしていた。





佐々にとってのこのひと月は、由里子への想いを断ち切るための壮絶な日々だった。

佐々は学校でも不自然なほど由里子を拒絶し、そばに寄せ付けなかった。

その行為がどれだけ由里子を傷つけ、また佐々自身をも傷つけたことか。

それでも、佐々の中から由里子の存在を消し去るためには、そうするしかなかった。

しかし忘れようとすればするほど、由里子への想いは津波となり、行き場のないエネルギーが佐々を押し潰した。

目を閉じても、次から次へと脳裏に浮かび上がる、由里子の狂おしいほどの幻影に苦しめられ、佐々は気がふれてしまうのではないかと思った。

むしろそうなった方が、その時の佐々には楽だったかもしれない。

しかし、今自分の目の前にいる由里子は、佐々が創造した幻影などではない。

由里子の体内には温かく赤い血が流れ、手を取り額を付けた佐々の行為に、恥ずかしがり頬を染める本物の由里子だ。

それも手を伸ばし、その細い肩を引き寄せれば、佐々の腕の中に抱くことができる距離にいる。

佐々にとって由里子は、少女の危うさと大人の聡明さを合わせ持った理想の女性だった。

佐々は教師と生徒として、由里子と出会ってしまった運命を恨んだ。

そしていつしか佐々は由里子の魅力に翻弄され、教師としての自分を制御するすべを失っていた。

今、目の前にいる由里子を自分のものにしたい。

佐々の男としての本能がついに覚醒し、先ほどまでの優しかった顔つきが豹変した。


『由里子、俺のことどう思ってる?』

佐々は由里子の額から自分の額を離すと、由里子の肩を強くつかんだ。

突然、由里子を見る佐々の顔つきが厳しいものへと変わった。

さっきまでの優しかった佐々はどこへ行ってしまったのだろうか?

由里子は急に佐々が怖くなり、とっさに身を固くした。


由里子と先生の最初へ 由里子と先生 6 由里子と先生 8 由里子と先生の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前