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『秋の風とジグソーパズル』
【青春 恋愛小説】

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『秋の風とジグソーパズル』-5

程なくして、パズルは無事に完成し、柊子は時計を見て立ち上がった。
「それじゃあ、私そろそろ帰るね。」
「あぁ、じゃあな。」
俺も立ち上がる。
「今日はありがとう、やっぱりつばきはいい奴だね。」
「おだてても何も出ねぇよ。」
おどけて返すと柊子はクスリと笑った。
「ホント、いい奴だよ。だからひさぎも私に告白された時つばきには話したんだろうね。」
「えっ!?」
なんでそれを…
「実はね、こないだひさぎから聞いたの、つばきに話しちゃったって。」
「まいったな。」
「でも逆に良かったかな。つばきには知っててもらって。」
そう言って優しく微笑んだ。
「よかったよ、つばきと友達で。」

俺は、柊子のことをうまく励ませてやれたのだろうか。柊子の台詞と、その様子から見ると、どうやらそれはうまくいったみたいだ、友達として。

柊子が部屋から出ると、部屋の中の空気は急に静かになった。いつも通りの自分の部屋の懐かしい静けさが少し俺を寂しくさせた。
「やれやれ。」
俺は一人部屋で呟いた。
俺と友達でよかったと、柊子は言った。それは嬉しいけれど、やっぱり切ない。
それでも俺は、今はそれでいいとさえ思う。柊子がそれを望むなら、俺という友達がいることで救われるというのなら。
でも、いつかは…

部屋の真ん中にあるテーブルの上には、組みあがった小さなパズルが行儀よく横たわっている。
それを見て、俺は思った。
俺たちは、組み立て途中のジグソーパズルのピースみたいだ。
それが上手く組みあがった時、柊子の隣には俺が居ればいいのにと、願わずにはいられない。

ただ、俺たちがジグソーパズルと違うところは、それを組み立てるのは、他の誰かではなく、ピースである俺たち自身だということ。
願うだけじゃ、駄目なんだ。

窓を大きく開けた。秋の風を思い切り胸に吸い込んだ。


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