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織露府(オルロフ)家の花嫁
【その他 官能小説】

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織露府(オルロフ)家の花嫁-2

「綺麗なおっぱいね。」
 真貴子が満足そうに言った。スリムな身体からすると予想外に大きな乳房は形の良いお碗型で、少し上向きの乳首が可憐に乗っている。千夏の呼吸に合わせてその膨らみがプルンと小さく揺れた。
 いくつものカメラのシャッターが切られ、列席者達の視線を胸に感じて、耳まで熱くなっていく。
 ブラジャーを脱いで真貴子に渡すと、千夏はいよいよ両手をパンティに掛けた。
「さあ、ぐずぐずしないで。下着を全部脱いで、裸になるんですよ。」
 腰に両手をかけたまま、ためらっていた千夏だったが、真貴子の仮借のない声に促され、真っ白な布を膝まで下げていく。黒い茂みに飾られた三角地帯が、ついに露わになった。
「あぁ…」
 とうとう千夏は全裸になった。ため息とも泣き声ともとれる小さな声が彼女の口から漏れた。
(見られているわ、恥ずかしい!)
 300人の視線が自分の裸体に注がれているのを感じて、千夏は思わず胸と下腹部を両手で覆い隠した。そこに、白いタキシードに身を包んだ淳哉が寄ってきて、その手を払いのけた。
「身体を隠しちゃだめだよ。」
 千夏と腕を組んで、淳哉が囁いた。
 織露府家の花嫁は花婿にエスコートされて、一糸まとわぬ姿を晒しながら大広間を一周し、居並ぶお列席者達に出席のお礼を述べなければならないのだ。
「あ、はい。でも…」
 千夏は小さな声で囁いた。
「恥ずかしい…」
「そうだろうけど。僕のために我慢しておくれ。」
 千夏は小刻みに震え、目を潤ませながら、それでも、淳哉に命じられたとおり、もう片方の手を下に降ろした。
 千夏のすぐ側で、バシャッという大きな音がして、ひときわ眩しい光が目を焼いた。結婚式の様子を撮影しているプロのカメラマンだ。その横ではビデオカメラも回っている。
 多くのフラッシュが光る中、淳哉は千夏の腕を組んでエスコートしながら、ゆっくりとテーブルを回っていく。言われたとおりに下腹部の恥毛をさらけ出し、ピンク色の乳首を隠そうとしない千夏の姿を横目で見て、淳哉はにっこりと微笑んだ。

 2人は、大学の先輩や同級生たちが集まっているテーブルの前に立った。普通の結婚式なら拍手と歓声で迎えられるところだが、みんな唖然としながら、恥ずかしげに俯く全裸の花嫁を見つめていた。
 学生全体の人数が少ないため、千夏の学部の同級生はほぼ全員が顔を揃えている。しかも、理系の学部なので、女学生は数人、後は男子学生ばかりだ。この儀式がわかっていたら、友達など呼ばなかったのだが、儀式の説明を受けたのは、招待状を全て出し終わった後だった。
 性格も抜群に良く、学園祭でミスキャンパスにも選ばれたことのある美人の千夏は、男子学生たちのアイドルだった。その彼女が学生結婚することを知ったほとんどの男子学生は地団駄を踏んで悔しがったと言う。その千夏が全裸で目の前に立っているのだ。男子学生のほとんどは、食い入るように千夏の身体を見つめていた。
 千夏の手が胸と股間を覆いそうになったが、淳哉に組んでいた腕を引っ張られ、小さな拳をぎゅっと丸めて踏みとどまった。
「今日は…、わ、私たちの結婚式に出てくれてどうもありがとう…。」
 各テーブルでのあいさつは花嫁がするしきたりになっている。千夏の声はかすれて、もはや涙声になっている。
 やっとパチパチと拍手が出る。
 普通の結婚式なら、ウエディングドレス姿を見て、「お幸せに」とか、「きれいね」などと声をかけてもらえるところだが、女学生たちは何とも言いようのない表情を浮かべていた。ただ、一番、仲の良い友達に囁くような声で「大変そうだけど、がんばってね」と声をかけられ、千夏は思わず涙ぐみそうになった。


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