魔法使いの告白 8-2
私にはこの身体しかないし、それでも彼が私を愛してくれていることは疑いようもない程感じられる。
坂井さんが手首に触れないようにして私の腕を解く。
「真っ赤。可愛い…」
頬に軽く、くちづけると、頭が下りてゆく。
「あ…」
右の鎖骨の下あたりをに触れたかと思うと吸い上げていくのが分かった。
くちびるの触れているところが熱い。
坂井さんがゆっくりと頭を上げる。
目線をさげても、くちびるの当たっていた場所は死角になって見ることができなかった。
でも、たぶん。
「…キスマーク、ですか。」
私は坂井さんのくちびるが触れていた辺りを撫でながら訊いた。
「保険です。僕は、姉貴がいうほど自分のみてくれに自信はないんですよ。誑し込めるなんてね。でも、これで北野さん…は、もう、他の男の前で裸になれません。」
坂井さんは少し困ったような表情で笑ってそういった。
その顔は馴染みがあって安心する。思わず私も笑ってしまう。
また頭を伏せて、今度は左の乳房を吸い上げはじめた。
今度は少し下の方なので、坂井さんの顔が見えた。
ちゅっ。
音を立てながらくちづけている。伏せた目が色っぽい。
後ろに流した髪が一筋額に落ちてきていた。
「あ…ん…」
鼻先が敏感な突起に触れる。
ゆっくりと坂井さんが顔を上げた。
私の胸には赤い花弁のような印が落されていた。
じっと見つめられて面はゆい。
「美里さん、って呼んでいいですか?」
「はい」
「僕は圭って呼んでください。坂井でもいいんですけどね」
「ケイ…さん」
そうか、ケイっていう名前なんだ。ずっと坂井さんって呼んでたから知らなかった。
くす。ケイさんに笑われる。
「知らなかったんでしょう?いいんです。覚えて。土2つの圭です。坂井圭。」
あ。バレた。
「さか… 圭さんは私の名前知ってたんですか?」
「まあ、僕はずっと美里さんが好きでしたし。以前、郵便物がウチに紛れ込んできたことがあって、美里さんちのポストに入れたことがありますよ。」
「そうなんですか?私…」
圭さんは私のくちびるに人差し指を当て、言葉を止めた。
「ごめんなさい。僕、もう我慢が出来ません。美里さんがほしい」
うわ。ストレートな物言い。
様子をうかがうように顔が近づく。
にっこりと笑ってみせたら、くちづけてくれた。