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やわらかい光の中で
【大人 恋愛小説】

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やわらかい光の中で-21

 裕美の会社の企画制作部は、大きく6つのグループに分けられていて、各グループには、もちろんの事ながらリーダーがいた。
 グループにもよるのだが、裕美が配属されたグループのリーダーは、クライアントからご指名で仕事がくる程のプランナーだった。

 それ故に全ての企画は、彼のものだった。

 グループ内の他の人間は、彼の手となり足となり働くだけだ。
 そこで裕美に与えられた仕事はWEB関連の広告制作だった。
 彼女が就職活動をしていた当時、広告業界でもインターネット市場が重要視されつつあったが、その制作に関しての知識や認識は、まだまだ稚拙で素人同然だった。
 特に昔からプランナーをしている人間などは、用語に関しての知識は多少あったとしても、実務的なことになると、何も知らないといっても過言ではなかったのだ。

 それもある意味仕方がない。

 ネット市場に注目していても日々の仕事に追われていれば、なかなか新しいことを学ぶことはできないからだ。
 ホームページを作ることも広報活動の一環とされ始めた頃、裕美の会社では小さな制作会社へ、その制作を丸投げしていた。

 彼女はそこに目をつけた。
 もともとパソコンやネットに詳しい方ではなかったが、広告業界を志望するようになって、就職活動のために、自分のホームページを作った。
 ネット上に自分の作ったページがあれば、面接で非常に強いアピールになると思ったからだ。
 難しいだろうとも思ったが、本屋で立ち読みして、1番簡単そうな本を買い、それを参考に殆どその本通りのページを作った。
 今思えば、恥ずかしいくらいイケてないページではあったが、その意欲と多少の知識がかわれて、入社できたのだろうと思う。

 配属されてわかったのだが、そのグループが欲しかったのは、彼女の創造する能力やセンスではなく、ネットに関する知識を覚える事だけだった。

 それが大手会社の人材の正しい使い方なのかもしれない。

 彼女はプランナーに代わり、ネットの知識を身につけ、それをプランナーの指示通りに表現することが仕事となった。

 自分がゼロから発想し、作り上げる必要はなかったのだ。

 しかし彼女は、決して、その仕事を等閑にしていたわけではない。勿論の事ながら、学生時代の付け焼刃の知識では、何の足しにもならず、ネットに関してもページ制作に関しても意欲的に学んだ。
 ところが、仕事ができるようになるための一通りの知識が身につくと、途端に虚しさを覚えた。

 様々な企画を出して、自分の感性を武器にして生きていきたいと思っていたのに、自分がしている仕事は、言われたことについて調べたり、発注を出したりすることくらいで、そこに自分の感性が全く繁栄されてないとまでは言わないが、自分の作ったものだという実感もなかった。
 勿論、グループ内で企画会議があり、自分の企画を提案することもできる。
 しかし企画案が採用されるだけで、最終的には、リーダーの指示により制作が進み、彼の作品となって、世に出ることになるのだ。
 つまり企画の1部が採用されるだけで、場合によっては、自分の拘っていたところが全て変更されることもあった。

 無論、それなりの才能も名前もある人だから、彼のセンスに圧倒されることも多かった。 

 しかし、疑問を感じることも少なくはなかった。

 それでも社員の中には、何度も企画を出し、小さなイベントを任されるようになって、最終的にはプランナーとして羽ばたいていく者もいた。そして、そういう社員の殆どが、男性であることにも彼女は気が付いていた。


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