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魔法使いの告白
【女性向け 官能小説】

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魔法使いの告白 6-2

夜になってファミレスに本をもって出かけた。
家に1人でいると、考えすぎてしまうから。
ファミレスに行っても1人には違いないけど、ドリンクバーでなにか飲みながら本を読むと少し落ち着く。

だらだらと。

夜遅くなるまでここにいて、眠たくなったら帰ろう。
今日までは休暇。
明日は休み。
会社の仕事も溜まってるだろうなあ。
でも、それは今の私にはあまりつらいことではなかった。
余計なことを考えずに仕事に没頭できるのならありがたい。

0時半。

ウチから持ってきていた本を全部読み終わって席を立つ。
レジで精算していたら、財布からカードが出てきた。
孝文に渡された『BlueMoon』のカードだった。

ファミレスを出た私の足は『BlueMoon』へ向かっていた。





扉をあけるとルーレットが盛り上がっていた。

週末のお店は人が多い。
みかさんはルーレットを。
前にカクテルを作ってくれた男の人はテーブルを仕切っていた。

坂井さんは奥でシェーカーを振っている。
私を見て笑いかけ、軽く会釈をした。
とってもスマートでかっこいい立ち居振る舞いだ。

私、なんでこんなところまで来ちゃったんだろう。

坂井さんの目線を振り切って、ルーレットの前に行った。
みかさんが、声をかけてくれた。

「あら。いらっしゃいませ。何か飲まれる?」
「ええ。なにか軽いものを」

私はみかさんに1000円を渡すとそういった。

淡い水色のアオザイは先日のチャイナドレスよりクールな印象だ。
アジアン系の服が好きなのかな。
みかさんが坂井さんを呼び寄せる。
私のオーダーを言ったのだろう。

ぼんやりとべットされていくチップの流れを見ていた。
ルールは良くわからない。
けど、数字に置いたら良いのよね。

「どうぞ」

坂井さんがグラスを渡してくれた。

「ドリンクはオール500円なので、こちらお返ししますね」

500円玉を差し出す。

「それともチップと交換しましょうか?」

私が首を振ると、坂井さんは自分の手を添えるようにしてコインを私の手のひらに置いた。
坂井さんの手は少し湿っていて冷たかった。カウンターの中でずっと水を使っているのだろう。

業務用の対応。
笑いかけてくれるけど、なんだか違和感を覚える。
グラスを受け取ると、坂井さんはカウンターに戻っていった。

「特製スクリュードライバーよ。なんだか、顔色が悪いわ。大丈夫?」

みかさんが、そっと手をのばして頬に触った。
あたたかい。


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