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やっぱすっきゃねん!
【スポーツ その他小説】

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やっぱすっきゃねん!VI-2

「話は終わりだ。さっさと行けッ」

 直也は一礼してベンチから離れた。悔しさを噛み殺して。
 アップを続ける青葉中メンバー。その雰囲気は、いつもと違い静かだった。




 ──なんで私、ここに座ってんだろう。

 茫然とグランドを見つめる佳代。己れの情けなさに、思わずため息が口をつく。
 一哉は、マウンドで投球練習を繰り返す稲森を見て佳代に声を掛けた。

「佳代。省吾も同じ左だから、参考にしろよ」

 慰めも同情も一切無い、つき離した言葉。

「あ、ハイッ」

 アドバイスに対して返事をしたが、内心、そんな気分にさえなれない。
 チームに貢献出来ないことが悔しくてたまらない。

「佳代、大丈夫だよ。次は必ず出れるから」
「そうよ。皆んなで全国大会に行くんでしょう」

 尚美に有理。佳代にとって、かけがえのない友人。2人の励ましが益々、彼女を憤らせる。

 ──何故、私はここに座っているんだ?今まで、何のために努力してきた。
 皆んなの励ましやアドバイスを、私は無駄にしてるじゃないか。
 このまま終れない。終わったら絶対、後悔する。

 試合が始まった。見つめる佳代の表情は厳しく、誰もが近寄り難い雰囲気を醸していた。




 試合は5‐3で辛くも青葉中が勝利した。
 これでベスト8。明日の休みを挟み、準々決勝からは3連戦となる。
 次の対戦相手となる東邦中の試合を偵察し、学校に戻った部員達に永井は──明日はオフ日だ─と伝えて解散した。
 皆がユニフォーム姿のまま帰路に着く中、永井は思い出したように佳代を呼び止めた。

「なんですか?」

 近づき、視線を合わせない佳代の顔。永井には──悔しい─と語っているように映る。

「おまえは今から居残りだ」
「……?」
「今から、藤野コーチがピッチングとバッティングを見て下さる」

 ニヤリと笑う永井。佳代の目は驚きに大きく見開いている。
 慌てて振り返ると、グラブを着けた一哉がこちらに歩いて来る。 もう1度永井を見つめた。


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