古よりの守り 2-6
「めんどくさいんじゃなかったの?」
「今日はな…。夜は暗いし守るにしても守りにくい。それに酒場で飲み過ぎた阿呆なんていっぱいいるから絡まれる事が多いんだ」
「そう」
あしらってもあしらっても次々とくるからな。
「これ以上は我が儘聞いてやらんぞ」
「我が儘なんて失礼ね」
いやいや我が儘意外になんて言う?
何だかんだ言いつつ、レミナはロープを片付け、そのロープをベランダの端に置いた。
「それでいいわ。あんたの忠告聞いてあげるわ。でも明日…連れてって貰うわよ?」
「あまり期待すんなよ?」
「期待させなさい!」
そう言って部屋の中に消えてった。
やれやれ…夜のお守もするのに妙な約束をしちまった。
そう思いつつも窓際に椅子を置いて外の景色を眺めながら見張りをしていた。
翌朝。
取りあえず朝飯を食べて、レミナの部屋にある椅子に座り俺はこくりこくりと船をこいでいた。
あの時の会話以降、全然寝てないからな。
「すまん…ちょっと寝かせてくれ」
髪に櫛を通してるレミナに一応言っておく。
レミナは髪を解きながら顔だけをこっちに向けて少しの間じっと見つめて観察してきた。
「随分眠そうね…まさかあれから起きてたの?」
「ふわぁ…そのまさかだよ…」
欠伸を一つして答える。
「まさかの意外な一面ね」
「ほっとけ…」
「まぁいいわ…昼からって予定だし…寝るんだったらベットで寝たら?私の使っていいから」
「俺…そんな趣味ない…」
「馬鹿な事言ってるんじゃないわよ!」
頭をボコッと叩かれる。
いや…ゴスッか?
まぁ持ってる櫛でブスッと刺されなかっただけマシだろう。
頭を押さえつつベットの上にどんと俯せに倒れ込む。
ベットはほんのりと甘いような匂いがしており俺のベットよりフカフカとしたものだった。
流石としか言い様がない質の良いベットだ。
この誘惑の強いベットで眠りにつくのは容易だった。
そして目を覚ましたとき…。
夕日が微かに傾いていた。
俺の隣では気持ち良さそうに寝息をたてるレミナがいた。
夕日…つまり夕方…そしてレミナ寝てる…。
出掛けなくていいのか?
「おい…何お前まで寝てんだ?」
レミナの体をゆすり起こそうとするが…
「あんたの…体…マッチョね…ふふふ…」
起きるかわりに寝言が飛んできた。
いったいどんな夢見てんだこいつ…。
強めにゆするとむくりと起きた。
夕日を寝ぼけ眼でみて、一言呟いた。
「私なにやってんだろう…」
「いやこっちのセリフだよ」
っと思わず突っ込んでしまった。