古よりの守り 2-4
「ふふ…それにしてもあんた変わった奴ね…普段はこんな護衛なんていないわよ?冗談言ったり口が悪かったり…いつもの護衛なら何だかんだ言って口を開こうとしないのに」
「これが俺の特徴だ。悪かったな」
「いや逆にそのほうがいいわ。なんか畏まった奴見てるとイライラして来るのよね」
はーっと息を吐き背もたれに体重をかけるレミナ。
真面目にこいつに接してきたやつ可哀相に…心の奥底からというわけではないが哀れみの言葉をかけておくよ。
それにしてもなんだ…。
「パンツは薄いピンクか…」
「一遍天国行って来い!!」
その一言でレミナのエルボを食らう事となった。
お茶が来てからそのお茶を啜りながらレミナは色々な事を喋り出した。
ピアノは暇潰しにやっていた事。
城の外は危険だからと外出できずに何もすることがなかった時にピアノをやり始めたのだと言う。
いつの間にか絶対音感が身につき、少々楽しいと思った事があった。
だがそれはほんの一時。
聞いてくれる人なんて全然いない。
すごいと褒めてくれる人なんていない。
それがただ孤独な時間を感じることが多くなったように感じたのだ。
母は病でとっくに他界。
父は国務で忙しい。
護衛の奴は畏まってつまらないやつばっか。
「その点あんたは別よ」
っとレミナは言って来た。
また興味本意で街に出てみたくて護衛のやつに頼んでみたりしたら…
「危ないですから、おやめ下さい!」
などと言って止められるし…。
なんのための護衛なの!と言いたいのだろう。
昨日初めて抜け出したら変なやからに絡まれる始末。
要するにレミナは自分の人生を最悪と俺に言いたいらしい。
ちなみに昨日レミナが居なくなった事で大騒ぎなったのは言うまでもない。
「そう…御気の毒っと」
「あんた軽いわね…」
「人の過去ほどどうでもいい物なんてないからな」
そう吐き捨ててティーカップに手を掛け、お茶啜る。
「そう言うあんたの過去を少し話しなさいよ」
「断る」
「なんで話したがらないのかしら?」
やれやれというようなわかりやすい表現を見せてやる。
「もし俺がその過去を話したらお前はその情報で評価するだろ?俺はそれが嫌いなんだ。もちろん俺はそんな過去で評価はしないしさせない。そんでもってして欲しくないんだよ」
「要するに…遠回しに何かやらかしたのね?」
「さぁな…お前の想像に任せる」
お茶と一緒に運ばれきたお菓子を口の中に放り込む俺。
「まぁあんたの意見はごもっともって感じね。でも私は雇主の娘。そしてあんたに仕事を与えるようなものよ?少しは過去を知っておきたいのは当たり前じゃない?」
確かにこいつの意見は一理ある。
何も知らない相手を側に置くってのは変な話だ。
「んじゃ…軽く自己紹介ぐらいはしてやるよ」
あまり乗り気ではないが俺は口を開いた。