古よりの守り 2-3
「何よ?私をじっと見たりして…お茶はどうしたの?」
不機嫌そうな顔をしてこっちを睨む。
「焦るなって…もうすぐ持って来るだろうよ」
椅子に腰掛け軽く答えを返してやる。
あっそ…ってな感じに言いたげの顔をするレミナ。
こいつの態度が自分としてはムッ!と来ることはなかった。
まぁ座っていても別にそこまでなんも言われないし、自然体で行けば給料貰えて過ごせる。
そんな肉体的に楽な状況になっているんだ。
俺にとっては天国と言っても良いだろう。
レミナに軽くあしらわれるのは精神的には別にどうってことないし昔に比べればと思う。
昔なんてなにがあったかなんて今はどうでもいいや…。
変に過去を思い出している時にレミナは大きな溜め息をつく。
「ねぇあんた…面白い話をしてくれない?」
いきなりなんも脈絡もないプライバシーの質問。
いや命令か?
「なんで俺が…」
「暇潰しにはなるでしょ?」
「それこそピアノでも弾いてれば良いだろう?」
鍵盤に目線を落とすレミナ。
顔はピアノを弾いていた時のように無表情。
そしてひとつの鍵を押し、弾き鳴らす。
「もうこれ飽きた…」
開いていた鍵盤を閉じる。
そしてまっすぐ俺をみる視線…。
俺の仕事は自分が思うように行動すればいい。
例え犯行的でもだ。
まぁある意味黙秘権が最大の権力者から許可されてるんだ。
と言ってもずっと何も話さないのはどうかと思う。
そしてあの目…。
話せと言わんばかりの目だ。
「あ?もうわかったわかった…そのあんたにとって面白い話はなんだ?」
レミナは意外そうな顔をして、体をこっちに向けた。
「そうね…取りあえずあんたの犯罪の歴史でも教えて貰おうかしら?」
「いやちょっと待て…そこに楽しいって要素はあるのか?」
「あるじゃない?あんたを馬鹿にできるって面白みが」
ニタッとあたかも裏ありまくりの笑み。
「んじゃまずだな…」
「待って…本当に犯罪歴あるの?」
「お前が詮索したことだろ?」
レミナの表情が険しくなる。
「そうだな…まずこの頃の犯罪と言ったらおまえのフードに唾をかけたぐらいだな」
「OK…自殺志願者ね」
肩を回すレミナ。
「お前には冗談を見抜くというスキルは持ち合わせておらんのか?」
「残念ながら冗談が通じないのよね…」
というか、犯罪って言うよりいたずらに近い事だ。
ニヤニヤと妙な笑みを浮かべるレミナ。
その笑みは段々と自然の笑みとなっていった。
肩回しは…もちろんおさまってる。