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……タイッ!?
【学園物 官能小説】

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……タイッ!? 第二話「励ましてあげタイッ!?」-2

「……サボルって、俺は部室の明け渡しとか色々忙しかったから」
 背後ではスカートがふぁさと落ちる。しっとり感と弾力のある尻、形の良い大きなお尻を見たい誘惑に駆られる紀夫だが、振り返るとすでに短パン姿になっていた。
「へー、これが新しい部室。前より明るい感じがしていいね」
 がっかりする紀夫に気付かず理恵は物珍しそうに新部室の様子を見る。
 壁の汚れをしっかり落とし、ロッカーの表面もしっかり拭き、舗装のはげかけた部分もしっかり色を塗っている徹底振り。理恵は感心したように「へー」とため息を着き、
「うふふ……」
 意味深な含み笑いをしだす。
「どうしたの?」
「だってぇ……」
 理恵は掃除中の彼に寄り添い、両肩にそっと手を添えてふうっと息を吹きかける。
「お外よりいいかなって思ってさ……」
「……理恵さん……」
 数日前のことを思い出すと気恥ずかしさを覚えてしまう。
 彼女の魅惑的なお尻にほだされ、無理矢理求めてしまった自分。
 恋愛感情もなく、ただ青臭い性欲にのまれたことを今もなお反省している。
「約束だよ?」
「うん」
 不謹慎な口約束を取り交わすと、理恵は荷物を近くのロッカーにしまい去っていく。
 肩に残る感触とほのかに香る桃のエチケットスプレーを感じながら、紀夫は一人悩みの花を咲かせていた。
 ――理恵さん。俺のことどう思っているのかな?
 肌を重ねたとはいえ、好きと言われたことは無い。例え言われたとしても、それは性行為の結果か、それとも補習の神様としての信仰か。
「でも約束……」
「したの?」
「え、うわあ!」
 振り向くと今度は里美がいた。彼女はタオルを首からかけ、スポーツドリンクを飲んでいた。
 せっかちな理恵がドアも閉めずに出て行ったらしく、彼は里美が入ってきたことに気づけなかった。とはいえ、音も無く背後に近づかれるのは非常に心臓に悪い。出来れば止めてもらいたいことなのだが……。
「隙が多いですぞ? 島本殿」
「面目無い」
 してやったりと笑う里美を前に頭を掻いてしまう。
「んで、何を約束したの?」
「あ、それは……えっと……」
 まるい目をキョトンとさせながら見つめる里美を前に、紀夫は何故か咄嗟の嘘が思いつけなかった。何故か口が渇き、声がかすれてしまう。埃を吸い込みすぎたのだろうか? きっとそうだろう。それ以外に考えられない……のだろうか?
「どしたの? 慌てて」
「いや、掃除してたら埃で喉がさ」
「ふーん、なら特別にあげる」
 里美は飲みかけのペットボトルとストローを渡してくる。
「え? あ、ありがと。喉渇いたから助かったよ」
 んぐんぐと音を立てて飲み込むと、ぬるい水分でもそれなりに気持ちが良い。
「んで、何を約束したの?」
「うぐっ! げふげふ……んもう、次の補習手伝ってことだよ。理恵さん、ほんと
しょうがないよね……あはは」
 喉を潤したおかげか嘘もすっと舌を滑る。半分本当でもあり、特に罪悪感も無い。
「ふーん。そうなんだ。まあいいわ。ご苦労様」
 そういうと里美はドリンクを受け取り、そのままチューチュー吸いながら出て行った。
 ――もう、香山さんまでどうしたっていうのさ? っていうか、なにしに来たの?
 再び作業に戻る紀夫だが、自然と胸と顔が熱くなるのは何も初夏に向う気温のせいだけではない。
 果たして気がついているのか……?


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