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……タイッ!?
【学園物 官能小説】

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……タイッ!? 第二話「励ましてあげタイッ!?」-13

**――**

 人に聞かれると困る類の話だからと控え室隣の倉庫に入る二人。
 八畳程度の広さの部屋はコンクリートの床でひんやり寒く、大きなモザイクガラスの窓がある程度。棚には鉄杭がいくつか立てかけられており、簡易式のテントセットや表彰台、他にも担架などの救急用具があった。おそらく大道具の倉庫なのだろうと分かる。
「で、一体何がなんなんですか?」
「うふふ……。里美ちゃんの不機嫌な理由はね……女の子の日だから!」
「……」
 女子の生理現象に詳しくない紀夫でも「女子の日」程度は知っている。もちろんどの程度の辛さなのかは未体験の領域だが。
「それだけですか?」
「嘘よ。嘘。冗談だってばさ」
「俺も忙しいんですけど?」
「やーねー。んでも、半分正解だと思うよ?」
「は?」
 半分だけ生理という事があるのだろうかと首を傾げるが、その困惑気味を視て優越に浸る紅葉は腰に手を当て、胸を張って得意げになる。
 試合の無い紅葉はジャージ姿で、赤を基調とした目に優しくない上下だった。けれど、胸元までが開いており、そこから見えるティーシャツは学校指定のものではなく、黒地にピンクのポップな文字が躍るものだった。ただ、気になるところといえば、それが歪んで見えること。特に肩幅に比べて横と前に出っ張っている点。
「んふふ。見てるの? エッチだね……」
「俺らぐらいの年代はそれぐらい普通です」
 女子に対する免疫ならそれなりに出来ている。もちろん頼まれれば拒めない性格は変わっていないけれど。
「走るとき邪魔なのよね。コレ……」
 理恵が聞いたら嫉妬しそうな発言だが、彼女の場合発育が鈍くもある。
「そうなんですか? 俺は良くわかりませんけど」
 できるだけ意識していないように、且つ自然なスケベ心を表そうとぶっきらぼうに言う紀夫。
「ねえ、それじゃあ聞くけど、里美ちゃんって女っぽいと思わない?」
「そりゃ女の子ですし……」
「そうじゃなくて……、おっぱいとか、お尻とかさ」
 同じ中学出身とはいえ常に観察していたわけでもなく、話すようになったのも最近になってのこと。それでも彼の目にも彼女の女子としての特徴は著しく、ユニフォーム姿だとたまに目線が泳いでしまうことがある。
「里美ちゃん、女っぽくなったじゃない? ウチって共学でしょ? だから男子とかの視線が気になるのよね」
 思わせぶりに笑われると、視線の一人として返す言葉が無い。
「意識しちゃうとどうしても興味を持つのよ」
「何にですか?」
 口腔内が乾く中、掠れた声を絞り出す紀夫。
「知ってるくせに……。エッチよ、エッ・チ」
 紅葉のことだから大体の予想はついていた。しかし、里美の事情を知る紀夫からすると、それは的外れに思える。やはりあのことを気にしているのか、普段の練習でも男子とは絶対に視線を合わせないし、向けもしない。
「里美ちゃんのことなら私も知ってるよ。マネージャー君が裏で色々がんばってるのもね」
「うえ? どういう意味ですか?」
「だから男の子達のこと」
 特に隠密行動というわけではないが、公表しているわけでもない裏任務を何故紅葉が匂わせるのか?
「そりゃ里美ちゃんにはショックだと思うよ。けどね、それ以上に好奇心ってのは厄介なのよ。一度気になると夜も眠れない。それほどまでにね……」
「はあ……」
「しかも都合の良い男子がいる。なんでもいう事を聞いてくれて、ひ弱でケンカしても勝てそうな」
「それって俺のことですか?」
「他に誰かいたかしら? でも最近君、いろんな女の子と楽しそうにしてるじゃない?」
 思い当たる節はいくつかある。その一人は目の前にいるのだが、それは敢えて指摘せず。
「自分にとって都合の良い男子のはずの君が他の子の都合に合わせて動くのってつまらないことよね」
「別に俺は香山さんの専属マネージャーじゃないし……」
「けど、里美ちゃんにとっては代わりの利かない存在よね? 泣き言聞いてもらったりしてさ」
 一体どこまで知っているのだろうか? むしろあの事件と関係があるのではないかと勘ぐりたくなる。


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