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Lesson xxx
【学園物 恋愛小説】

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Lesson xxx 〜later events〜-3

「え…?」

「何かあったのかって」

だんだん焦点の合ってきた目が一瞬泳いだのを見逃さなかった。

「神崎?」

「……ホントに何もないってば…」

追及されたくないのか、俺から離れようとした神崎の腰を後ろから抱きしめた。

「先生?!」

「言えねーのか?」

観念したように大きくため息をつくとクルっと俺に向き合った。

「笑わない?」

「あんまり…約束できねーな…」

俺の返事に、もうっ!と頬を膨らませたが諦めたように口を開いた。

「一人で家にいるとね…こう…ギシギシっていうか…ミシミシっていうか…どこからか聞こえて…。それが…怖くって…一人でいたくないっていうか…ね?」

それって家鳴りじゃねーか?

生意気な神崎が家鳴りにビビって小さくなってる姿を想像して吹き出した。

「もうっ!!だから言いたくなかったの!絶対先生は笑うってわかってたんだから!」

俺の頬を左右に引っ張って怒る。

「だって…笑うだろ?」

「知らないっ!ホントに怖いんだからね!先生のバカっ!」

珍しく本気で怒っている神崎の頭をポンポンと叩いてなだめる。

「笑って悪かったって。それは家鳴りだろ?そんなビビる程のもんじゃねーだろが」

「家鳴り…?」

初めて聞く言葉なのか首を傾げて俺を見つめる。

「湿気や乾燥とかの関係で家の建材が鳴るんだよ。一人だと静かだから余計聞こえるんじゃねーの」

神崎の目が丸く見開かれてパンっと手を打った。

「そうそう!お母さんといると聞こえないのに一人になると聞こえるから…だから…幽霊かなって…」

恥ずかしさからか語尾がだんだん小さくなる。

「意外に怖がりなんだな」

「悪かったわね」

ツンとそっぽを向くのは照れ隠しだろう。

「原因がわかったから家に帰るか?」

俺をチラっと横目で見ると首に腕を絡ませて伸び上がると軽くキスをしてきた。

「帰らない」

悪戯っぽく笑う神崎を抱き寄せて頬にキスを返した。

「帰るって言っても帰さねーよ」

ホントはずっとそばに置いておきたいぐらいなんだから。

自分ばっか惚れてんじゃないかと自嘲的な気分で腕の中で微笑む神崎を見る。

生意気で、可愛くて、多分俺の事が好きで。

そんな神崎を独り占め出来るならそれでもいいかって気分になった俺は神崎をソファーにゆっくり押し倒した。


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