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桜色の約束
【学園物 官能小説】

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桜色の約束A-2

そして翌日。



私は資料作成や会議の為出勤した。昨日の出来事はまだ誰にも話していない。
本当は澪に相談したいのだが、彼女は養護担当の為、今日は生徒と同じく休みなのだ。



私はデスクに座るやいなや、自分の唇をそっとなでた。


―冷たかった。昨日のような温もりなど、もちろんあるはずはないのだが、果たして現実に起きた出来事なのかさえもわからなくなるほど、記憶が曖昧だった。




もし、現実なら…
早く私に会いに来て…


そう強く願った。





――ねぇカオル?「また明日」という約束は、叶うのかしら…?





気持ちがついていかず、私は仕事がはかどらなかった。それでも時間は刻一刻と過ぎ、次に時計を見た時には、すでに夕方の17時をまわっていた。


私は新任教師の為、するべきことは山ほどある。それを不器用にこなす中、同僚の先生方の姿は、ひとり、またひとりと消え、今は私ひとりだけ。



「ふぅ?。さてと。今日は帰るか。」




もう考えるのはやめよう。あれはきっと幻だわ!あんな大人びた子がうちの生徒にいるわけがない!そうよ………考えるだけ空しいから、もうやめよ…





私の意識の半分は自分に言い聞かせているのに対し、もう半分は、まだ諦められずにいた。その証拠に、私の視線はあの桜の木に向いていた。



夕日に照らされ、いつもより赤く燃え上がるような色をした桜は、一段と美しく見えた。


でも、それ以上の美しさを添えてくれるカオルの姿はない。何度見ても…



「よしっ。帰ろ。」

私は帰る支度を始めた。
もしカオルと会えたら…と期待して着てきたお気に入りの桜色のスーツを身にまとい、職員室を後にした。


そして、昨日とは明らかに違うペースで階段を降りると、校門まで真っ直ぐ伸びた道にある桜の木へと歩き出す。


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