冷たい指・女教師小泉怜香C-5
『亮と……同じクラス……』
私はなんだか嫌な胸騒ぎがした。
「センセー。このコ、生理痛だって」
亮が当たり前のような顔で私に言った。
『………生理痛?』
この女子生徒が自分から亮にそう言ったのだろうか。
心がザワザワと音を立てている。
今すぐにでも二人の関係を確かめたい気持ちを抑えて、私は相原博美を衝立の向こう側にあるベッドへと案内した。
私と亮が激しく抱き合った、まさしくそのベッドに博美は何も知らずに腰をかける。
若々しい綺麗なうなじ。
もともと色白であろう肌が、貧血のせいで透き通りそうなくらい色を失っていた。
「痛み止めと……鉄剤飲んどこうか」
私は博美に薬を飲ませ、少し横になるように促した。
素直に私の言葉に従う博美。
その態度は、私と亮の間に漂う親密な空気について、もうさほどこだわっていないように見える。
でも――――。
腑に落ちない気分のまま衝立の向こう側に戻ると、窓際の丸椅子に座っていた亮が私を待ち構えていたようにゆっくりと立ち上がった。
『……亮……?』
その表情にいつもと違う不穏な空気を感じ、私はドキリとして足を止めた。
フォーカスの少しだけ合わない色っぽい視線が、じっと私を見つめている。
放課後ここで突然私を抱いたあの時と同じ、セクシーな男の顔が目の前にあった。