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キミのうしろ
【青春 恋愛小説】

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キミのうしろ-2

いつもより早く起きて支度をする。今日から、歩いて学校にいかなきゃいけない。あたしの足だと1時間近くかかるかな…。そんなことを考えながら、朝ごはんも食べないで家を出る。見慣れた道を歩くと、不思議なくらいにたくさんの発見をした。交差点にある看板が新しくなったこと。山田さんの家が新築中なこと。タカちゃんが通ってる小学校に新しい花壇ができたこと。駅の屋根の色が緑から赤になったこと。今まで、毎日通っていたはずの道なのに。ただ違うのは、悠太がいないこと。あたしは、悠太と話すことが楽しくて、悠太の背中を掴むのに夢中で、まわりのことなんか全然目に入ってなかったんだ。涙が止まらない。昨日、あれだけ泣いたのに。まだ朝早いから近くには誰もいなくて、それをいいことにあたしはわんわん泣いた。
「高校生にもなって何やってんだよっ。近所迷惑だろーが」
後ろから声がした。自転車のブレーキの音。間違いない…悠太だ。
「朝迎えに行ったら、もう出かけたって言うし…って、聞いてる!?」
あたしは振り向けなかった。なんて話せばいいか分からないし、第一こんな顔見られたくない。そんなあたしの気持ちを知ってか知らずか、悠太は一方的に話し続ける。
「で、昨日の話の続きね?ちぃがどんな風に解釈したか分からないけど…俺、あのとき告ろうとしてたの…知ってた?」
悠太の言葉にびっくりしたあたしは、思わず振り返った。
「うわっ、ひでー顔。ほら、涙ふいてっ」
「あ…ありがと」
悠太からハンカチを受け取る。あたしはそれを目頭に当てた。
「悠太…今の本当に?」
あたしは疑い深く問いただした。悠太はため息をつく。
「なんか知らんけど、俺ちぃのことスキみたいなんだよね、結構昔から。」
「うそっ!早く彼氏つくれ、って昨日言ったもん」
「あれは、探りいれたのっ!スキな奴いたら、元も子もないっしょ?」
悠太はあたしの頭をポンポンと叩きながら言う。まるで、愛しいものを見るような優しい目であたしを見つめてくれる。
「とにかく、幼なじみとか、そーいうのヤだ。俺、ちゃんとちぃの彼氏になりてーもん。」
「…。」
恥ずかしさを抑えきれず、顔が熱くなるのが分かった。今のあたし、きっと顔真っ赤なんだろうなぁ。
「で?姫の考え聞きたいんですけどっ」
「あたしはっ」
「…ちぃは?」
「悠太の側にいたい。彼女として」
「ん。よろしいっ」
悠太はあたしの髪をくしゃくしゃってすると、こう言った。
「もうチャリ乗れなくてもいいから、ちゃんと落ちないよーに、ずっと背中つかまっとけ?」

今日もあたしは君の後ろで揺れる。もしも、明日か…1ヶ月後か1年後か分からないけど、あたしが自転車に乗れるようになっても、あたしたちはずっとずっと一緒にいられるよ。これはあたしの勝手な予想だけど、あたしたちがいるのは運命だって分かるから。

fin


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