投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

Friends
【青春 恋愛小説】

Friendsの最初へ Friends 8 Friends 10 Friendsの最後へ

Friends-9

部活中、俺は周りをキョロキョロ見回している。
「どうしたの省吾? ハムスターみたいだよ」
菅谷が後ろから俺の背中をポンポンと叩いてきた。
「わかりにくい例えだな…まぁいいや。あのよ、聖の奴が居ねぇ様な気がするんだけど?」
もう一回、辺りを見回すが、やっぱり聖の姿はグラウンドに無い。
「あれっ? 本当だ」
「まったく何やってんだよ、あいつは…」
もう部活が始まってから一時間も立ってるのに全然来る気配がねぇ。
「…ちょっと探しに行ってくるわ」
「わかった、先生には僕から言っておくよ」 
俺は聖を探すためにグラウンドを後にした。


 学校の昇降口で立ち尽くす俺。
「…ん〜居ねぇ…」
勢いで聖を探しに来ちまったが、一体聖は何処に居るんだ?もしや、もう家に居るんじゃないか?
「電話してみっか…」
俺は職員室の前にある公衆電話の受話器を上げ十円玉を入れて、聖の家の番号を押した。
聞き慣れたコールの後、ガチャリと音がして『もしもし』と、聖のお母さんの声がした。
「あっもしもし、おばさん省吾だけど」
『あ〜省吾君久しぶり』「久しぶり。っでさ、おばさん、聖は家に帰ってきてる?」
『えっ? 何で? 部活でしょあの子?』
「いや、それが部活に居ないんですよ」
『そうなの?』
「はいっ、ちょっと心配なんで俺探しておきますよ」
『そう? ごめんね省吾君、聖が迷惑かけちゃって…』
「いやっ良いっすよ。じゃあ、さいなら」
『じゃあよろしくね』
ガチャっと受話器を下ろす。
「さてっ…探すか…」
俺は再び駆け出した。


「…ちくしょお…どこにも居ねぇでやんの」
あの後、学校内を駆け巡り全ての教室、トイレを食い入るように見たんだが影も形も無かった。
「ふぅ…後は」
こういう時のお決まりの場所、体育館裏か…
「何で、俺こんな一生懸命聖の事、探してんだ?」
ふと、疑問に思った。聖の母さんに頼まれたから?違う。先生に頼まれたから?違う。
じゃあ、なんでだろう?
「…聖はレギュラーだし…サボってたら怒ってやろうとしてんだろうな…多分…ぅんそうだ! そうだよな。俺らだけ練習して、あいつがサボってるのなんて、むかつくからな、サボってるとこ見つけて怒ってやろう」
そう棒読みで言って、俺は体育館裏に向かった。
本当は…心配なのかもしんねぇな? …んな訳ねぇか…


体育館の入り口に着き、右回りに、裏へ向かう。
体育館の中ではバスケ部とバレー部が、部活をしているらしく、キャーキャーとうるさい声が、聞こえる。
 だが、体育館裏に近付くにつれて、その声も段々と聞こえなくなってきた。
俺は体育館裏の、一歩手前で立ち止まった。
何故か?
「声がするな…」
男と女の声がする。しかも、女の方は泣いているようだ。
「気になるなぁ〜おい」
俺はニヤリと笑うと、顔半分を出して、体育館裏を覗き込んでみた。
「…………」
なんだ5メートル先ぐらいで?菅谷と聖が抱き合ってる?
いや…聖が一方的に、抱き付いて菅谷の胸に顔を埋めている…
「困ったな…」
菅谷は困っているように、右頬を人差し指でポリポリしている。
「大丈夫? 聖」
聖は埋めている顔を上げ、涙で赤くなっている瞳で、
「…もう少しだけ…」
と言って、また顔を埋める。
俺は顔を引っ込めて、壁に背も垂れた。
「…………」
何故、聖が泣いているのか。
 何故、菅谷が居るのか。
何故、聖は菅谷に抱き付いて泣いているのか。
「…わからねぇ事ばかりだよ…」
そう、俺は呟いた。
でも一つだけ分かる事『この場に俺は必要ない』俺が今、二人の前に行っても邪魔になるだけだ…
「…よっこらしょ」
俺は、背中を壁から引き剥がしグラウンドへ、俯きながら、トボトボと歩き出した。


一体二人に何があったんだよ……


Friendsの最初へ Friends 8 Friends 10 Friendsの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前