投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

『六月の或る日に。』
【悲恋 恋愛小説】

『六月の或る日に。』の最初へ 『六月の或る日に。』 9 『六月の或る日に。』 11 『六月の或る日に。』の最後へ

『六月の或る日に。1』-10

『答えは、今度言うよ。』

今度、なんて。
あたしたちにはもうないのに。

気づいたらそう口にしていた。

夏樹は驚いたように、目を見開いた。


『……夏樹。あたしに、時間ちょうだい。あんたと……きっぱり別れるための、時間。』

だって、いきなりすぎた。

あたしは今日も、いつものマンネリコースで、楽しみもときめきもないけど、ただ安心できる、ほのぼのとした1日を夏樹と過ごせるんだと思ってた。


それが、衝撃的な告白のせいで、台無しになった。
あたしたちの未来が、一瞬にして消えた。


受け入れるには、いくらあたしだってキツすぎるよ。

『……そう…だな。わかった。』

夏樹も、あたしの思いを汲んでくれたのか頷いた。

『…夏樹、その時は、夏樹も答えて。』

あたしは今日初めて、穏やかな気持ちで夏樹の目を見た。

さよならを、言う時は。


『…素直になって。』

あたしも、そうするから。

『ーーー、ああ。』

夏樹の目が、一瞬だけ、泣きそうに見えた。



長く短い、時間の中で、あたしたちが失ったものは。

手に入れられなかったものは。



何だったんだろう。


『六月の或る日に。』の最初へ 『六月の或る日に。』 9 『六月の或る日に。』 11 『六月の或る日に。』の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前