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……タイッ!?
【学園物 官能小説】

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……タイッ!? 第一話「守ってあげタイッ!?」-6

「うん、まあ、あの人はちょっとずれてるからな……。んでも、羨ましいな。なんつうか、女子に囲まれてさ……」
「でも、教室じゃ皆そうでしょ?」
「あ、そっか。それもそうだな。ははは」
 背が高くがっしりした体躯。特に汗臭そうト言うほどでも無く、目鼻も控え目な好青年タイプ。少なくとも自分より女子からの評価が高そうな彼が、どうして自慰に耽るのだろうか? 同じ男として抑えられない気持ちはわからないでもないが、彼ぐらいのスペックを持つのなら相手にも不自由しないのではないだろうか?
「ねえ、市川は彼女いないの?」
 普段優と一緒にランニングに励んでいる彼だが、もしかしたら二人はそういう関係なのかもしれない。
「え? なんだよ急に。まさか、お前、俺のこと?」
「な、違うよ。僕はそんな趣味ないよ。ただ、気になって……」
「う〜ん、彼女っていうか、幼馴染と頭の上がらない人ならな……」
「ふーん、そうなんだ」
 ――幼馴染ってのは優さん? じゃ頭の上がらない人って誰?
「そういう島本は?」
「いや、僕は居ないよ。っていうか、そういうのまだわからないよ」
「そうか? てっきり香山とそういう関係なのかと思ってたけど……」
 そういえばあの日見た後姿に稔の姿が無かった。彼は参加していなかったのだろうか?
 考え込むうちに部室棟脇にたどり着く。稔は洗濯機に適当に放り込むとカゴだけ
もって帰ろうとする。
「あのさ、市川は香山さんのこと、どう思ってる?」
「香山? うーん、そうだな……」
 里美の名前を出すのは少々強引過ぎたかもしれない。ただ、稔は紀夫の思惑など知らないのか、少し遠くを見て考える風をしたあと、
「困った……かな?」
 と笑顔に近い顔で言い切った。

**――**

 練習が終わるのは大体午後六時。
 グラウンドで練習に励む生徒も日が落ちるとかまばらになる。代わりに体育館の明かりが燈り、バスケ部の練習が始まる。
「ああーん、もう最悪。なんであたしばっかりこんな目に遭うのよ……」
 ぶつくさ不平を垂れながら倉庫に練習器具を運ぶ理恵だが、むしろそれに付き合わされる紀夫の方がいい迷惑。
 補習授業とはいえ、練習に遅れた理恵はペナルティとして後片付けを命じられた。
 連日のように続く補習のため、ミーティングなどを欠席することも多く、ケジメをつけろとばかりの罰だった。とはいえ、高跳びのマットなど一人で運ぶには大きすぎる器具に閉口してしまうわけで、結局のところ、マネージャーだからと紀夫も付き合うことになったのだ。
「そう思うなら明日から補習受けないようにがんばってくださいよ」
「だってぇ、あたし勉強苦手なんだもん!」
 悪びれる様子無く言う彼女は、ひとさし指を窄めた唇に当て、雑誌のグラビアモデルのようなポーズを取る。
「……もう、その手には乗りませんよ」
 しかし、今日何度となく面倒ごとを押し付けられたせいか、紀夫もそうそう流されることはなかった。
「ちぇ、ケチ」
 もっとも、明日の放課後になればきっとまた補習教室で彼女の指導補佐を行うことになるのだろうけれど……。
「ん、ん、よいしょっと……、ふう、終りぃ!」
 ひとまずマットをしまい終えると、今度はラダーを無造作に放り込む。すると、テニスのネットがどさっと落ちてきてしまい、こんがらがってしまう。
「あ、ちょっと、そんなことしたら絡まっちゃうよ」
 几帳面な性格の紀夫はついつい解こうとしてしまう。
「あらら、まあいいや。あとお願いね」
「ちょっと、伊丹さん?」
「もう暗いでしょ? 女の子なんだから、お願い……ね?」
 暗い夜道を一人。それはつまり……。


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