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プラトニックラブ
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プラトニックラブ2-3

「どうしようもない部下をフォローするのもチーフの仕事さ」

阿住はそう言って私の肩をたたいた。
耳元で「金曜日待ってる」という言葉を囁き、帰っていった。

「もう。部長ってば分かってくれてないんだから」

亜季が隣で怒りながらキーボードを打っている。
耳に阿住の声が余韻で残っている。
ふいに今朝の少年を思い出した。

阿住のように中年特有の低くて耳にまとわりつくような声ではなく、若くて爽やかな声だった。


どこから道を間違えたんだろう…


窓から見える桜をぼんやり眺めながら心で呟いた。



もう、阿住と不倫して4年にもなるのだ。
―――――――

仕事が終わったのは21時だった。

「結局、みんな帰っちゃいましたね」

亜季が書類を片付けながら呟いた。


「仕方ないわ。急だったからね」

フロアを一回りして私と亜季は電気を消した。

「みんな冷たすぎます」

不満をこぼす亜季を横目に私はひとつに束ねていた髪をほどいた。

急に取引先から契約内容の変更をしてほしいと言われ、今日は残業することになった。
今日のようにいきなり仕事が入ると、自ら残業をする者などなかなかいない。

「今日は付き合ってくれて有り難う。何かご馳走するわ」

「そんな…いいんですよ先輩」

「いいのよ気にしないで。パスタとかでいい?」

「あ、だったらこの前オープンした店に行きたいです」


「ちゃっかりしてるわね」

私達は二人で同時に吹き出した。
職場でこうやって笑い合える相手がいるってことは幸せなことだと思う。



食事をしながら亜季はよく喋った。
コロコロと話を変え、喜怒哀楽を何度も繰り返しながら話した。
3才年下で、入社した当時は仕事の出来るようなタイプではなかった。
たまたま私が亜季の指導をすることになり、よく怒ったものだ。
亜季にとって嫌なことをたくさん言ったと思う。
阿住との関係も噂で耳にしているだろう。

それでも、亜季は私の傍にいてくれる。
今日だって嫌な顔ひとつせず残業に付き合ってくれた。


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