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……タイッ!?
【学園物 官能小説】

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……タイッ!? プロローグ「覗いてみタイッ!?」-15

**――**

 つまりはこうだ。
 愛理が和彦と部室で性行為をした。もちろん、里美が脅迫される謂われもないが、もしこれが公になったら?
 未成年への校内での淫行、教師と生徒。写真週刊誌が好みそうな話題であり、教育委員会も黙っていていない内容。
 教師は転任、あるいは諭旨免職。生徒は停学。
 では部活は?
 当面活動は自粛されるだろう。
 一番困るのは?
 大会にそなえて日々研鑽を続ける部員。それも優秀なアスリート……。

 中学の頃から里美は優秀な中・長距離ランナーだった。
 中総体では県の記録を更新し、全国では入賞を逃したものの、将来を渇望される一人だった。
 だからこそ、彼女は怖れていた。
 つまらない淫行、それも他人のそれに足を引っ張られてしまうことなどありえない。最悪、転校も視野に入れるべき。
 そんな時、男子部員が話をしたいと言ってきた。
 平山愛理の行為と部室の利用について。
 黙っている代わりに自慰を見せろ。自分らのを見たのだから、お前も見せろ。と。
 冷静に考えれば飲み込む必要の無い横暴な提案。
 男子三名に囲まれた彼女は軽いパニックに陥った。精液臭い年頃の男子、脚力と持久力ならともかく腕力ではかなわない。しかも相手は三人。自慰の真似事をして済むなら。そんな甘い思惑が、続く悲劇を誘発した。
 もっとも、勇気あるピーピングトムが救ってくれたわけだが……。

「でね……ひっく、あたし、悪くない……のに……」
「うん、うん……。里美さんは悪くないよ」
「うん……」
 胸元で啜り泣く彼女の髪を手で梳き、天井を見上げる。意識して彼女を見ないようにしていたが、埃臭さとは別に教室でよく嗅ぐ匂いを高濃度で吸い込む。
 ――香山さん、いい匂い。
 女子生徒の甘酸っぱい香りを感じながら、彼は話半分に聞いていた。
「……んもう、ちゃんと聞いてるの?」
「ん? あ、ごめん。けど、もう大丈夫でしょ?」
「うん……けど、わかんないよ。だって、男って性欲、毎日しないとだめなんでしょ?」
「それは、えっと……」
 自分も男なのだが、どうやら彼女からすると男の子なのかもしれない。もっとも、彼自身、性別を聞かれたら男の子としか言い様もないが。
「ね、君もシタイの?」
「え!?」
「だって、さっきから……ヘンナノ……大きくなってるし……」
「いや、それは……生理現象です」
 紀夫が目を空中に彷徨わせていたのは、気を紛らわせる為。もし意識して彼女と触れようなら、彼の愚息は今よりもう少しだけたくましくなっていたのではないか?
かといって、それどまりではあるが……。
「あのさ、こんなこと言ってもしょうがないけどさ、僕は香山さんを襲ったりしないよ」
 梳く手を止め、ちょっとだけ力を込める。
「本当?」
 彼女が少し上半身を起こすと、その柔らかな感触が遠のいてしまい、ちょっぴり残念な気持ちになれる。ただ、ニ十センチ程度の距離にある里美の顔から心細そうな視線が来ると、別な意識でどこかたくましくなれる気がした。
「うん。僕が香山さんを守ってあげる」
 脚はともかく、腕も彼女よりも細い。色白で懸垂も五回と出来ない彼がどうやって彼女を守るのか。
「誰も守ってもらいたいなんていってないもん。それに、君なんかじゃ……。なんでアンタあたしのこと知ってるの?」
 話題の定まらない彼女は胡散臭そうな半眼を真ん丸く開き、彼をじっとりと見る。


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