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イヴの奇跡
【その他 官能小説】

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イヴの奇跡V-5

『お前がそんな顔するのが悪いんだろう?』


『ふっ…ンむ…ゃ…外の人に…聞こえちゃうっ…!』
そう言いながらもされるがままに舌を絡ませるイヴ。

『ここは防音になってるから多少の音は聞こえない。それに…声を出さなきゃいいだけのこと。』

サファイアの瞳が嫌とは言わせない。少しだけ笑った後に挑発的な顔をして神崎はまた深いくちづけをイヴに捧げる。


『圭のいじわる…』
抱き合い見つめあったまま口付けが終わるとイヴは言った。
そんなイヴに神崎は何も言わずに笑う。
そしてまた口付けを交わそうとした。


と。そのときだった。
ーコンコン。



木製のドアのノック音が部屋に響く。
反射的に二人は互いにパッと口付けを中断する。

『社長?居ますか?B会社からの緊急連絡なのですが…』
ノックの返事がないことにノックの主は用件を先に言う。

『……アイツか』
ノックの主はいつも自分をサポートしてくれている女性だと気付く神崎。

『ぁ…みおね…さん?』
イヴもとろんとした目をドアの方へと向ける。

『悪い。邪魔が入ったな。続きは夜までお預けになりそうだ』

イヴの横を通りいつの間にか床に脱ぎ捨てていたコートを拾い上げて袖を通す神崎。
その表情はもうオフからオンへと切り代わり“神崎圭”から“社長”になる。

その様子にイヴは少し複雑な気持ちを抱く。
独りにされたような孤独感が溢れるも、何も言葉にすることなく神崎の背中を見送った。

―ガチャ
神崎がドアを開けるとそこには魅音里(みおね)が立っていた。

『どうぞ。』
ぶっきらぼうに言って書類を神崎に押し付ける魅音里。
ふと、視線がイヴに移されイヴは気まずい顔をして目を逸らす。

先程まで神崎と交わしていた行為が彼女を後ろめたい思いにさせたのだ。

『?…あぁ。』
いつもと様子が少し違う魅音里に違和感を抱きながらも神崎は書類を受け取る。

『確かに書類はお渡ししました。なにか不明な点があれば私にお伝え下さい。では、お邪魔しましたッ。』

淡々と必要事項を言うと魅音里は踵を返して去って行く。

『?…おぃ。みお…』

違和感を感じた神崎はイヴに謝罪のジェスチャーをすると社長室の扉を閉めて魅音里の後を追った。


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