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軟禁五日目―性欲、倒錯、異常な愛情
【ファンタジー 官能小説】

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軟禁五日目―性欲、倒錯、異常な愛情-2

考えてみれば不思議な話である。
(何故だ)
リーナスは扉を叩くのを止め、赤くなった拳を擦りながら汚れたソファに腰掛け、顔を顰めた。
(何故、こんなところに)
反乱軍の頭領がキリルだということは、敵方にも知れていた。そのキリルが捕まり、幹部の殆どがリーナスと同じく逮捕され、此処へ収容されたのだが、彼等は皆リーナスとは別の棟へ連れて行かれてしまった。
もっともどちらかといえば、リーナスが彼等と別に連れてこられたといった方が正しいのかもしれない。そしてこれの意図するところは、リーナスも薄々感づいていた。
帝国軍に女はいない。彼等は娼婦を相手にするより、収容されている若い女か幼い少年を性の捌け口としている方が多かった。おそらくはリーナスも此処であの男達の慰み者となるのだろう。
覚悟はしていたが、おぞましいことだった。
寒さと怖気に震える身を抱き締め、リーナスは息を吐く。
そして、頭の中に浮かんだ疑問を、もう一度考えてみた。
(何故、此処へ……)
此処――Z室へ連れて来られるまでに、人の気は全くなかった。
地下はまるで墓地のごとく静まり返り、不気味な空気のみを湛えている。
自分と同じ境遇の女の姿もなかったことに、リーナスは首を捻る。
(……それとも、拷問されるのか)
話すことは何もないが、それならそれで良いと思った。
男共の慰み者になるくらいならば、爪を剥がされても足を折られても、その方がましだ。それであの世へ行ったとしても、この世に未練などないのだから。
いっそのこと自ら命を立てたなら楽になるのに。リーナスの頭に一瞬だけそんな考えが過ったが、彼女は首を横に振ってその考えを掻き消した。自ら死ぬことは不徳である。その教えを破ることなどできない――リーナスは首に掛けた十字架を握り締めた。
そして顔を上げる。
「そうだ、何か引っかかると思っていた」
リーナスはまじまじと自身の手のひらを見やった。
「繋がれていないんだ」
手のひらも足も自由だった。此処へ連れてこられる前は、仲間達と共に鎖でその手を繋がれていた。
拘束が解かれたのは、あのデミアンのいる部屋に入る直前だ。もっとも鎖が解かれたとはいえ、男達の手で拘束されていることに変わりはなかったが。
リーナスは手首を軽く揉んでやる。きつく繋がれた鎖の跡はくっきりと手首に残っていた。彼女は辺りを見回し、息をつく。
(皆……無事だろうか)
その時だった。


重い鉄の扉が開く、耳障りな音。
コツコツというブーツの音がリーナスの前で止まった。
「ッ」
リーナスは反射的に構え、薄く笑うデミアンを睨みつける。
「このようなところに監禁して……一体何を企んでいる」
「監禁? とんでもない」
デミアンは大げさに肩を竦めてみせた。
「『軟禁』だよ」
「ほざけ」
リーナスは近づいてくるデミアンと一定の距離を保ちながら言った。
「軟禁だと? 繋がれていないからといって、此処から一歩も出られやしないのに」
「出られるさ」
デミアンは言って、ちらりと背後の扉を見やった。
「扉に鍵はかかっていない。この収容所内ならば、このZ室から出るも出まいもお前の自由だ」
リーナスは押し黙った。
確かに、先入観としてこの部屋から出られないと思っていたが、扉に鍵がかかっているかどうかなど試していない。


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