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【悲恋 恋愛小説】

嘘の最初へ 嘘 0 嘘 2 嘘の最後へ

-1

俺はずっと君だけを見つめていた。
ある時は颯爽とした風のように、ある時は華麗に舞う蝶のように、またある時は気まぐれに踊るネコのように。
君の新体操の演技を初めて見た時から、俺は君にアディクティッドさ。
高まるハートを抑えつつ、君に話し掛けた日のことはよく覚えているよ。
素っ気ない態度もまたクールでビューティフルだったね。頭を下げて、やっと君のアドレスをゲットした時は気絶するほど嬉しかったぜ。それから、俺たちは何度かメールのやり取りをした。
君はいつもサブジェクトに本文を書いて送信してきたね。
たとえ俺が十行のメールを送ったとしても、君はサブジェクトにたった一言『うん』『違う』『分かんない』のどれかを送ってきた。君からのメールの最大文字数は七文字。


『マジでくたばれ』


この、恥ずかしがりやの子猫ちゃんめ!
この間買った雑誌の【モテ男子の絶対条件!よく分かる・女心の裏表☆】のコーナーに書いてあったぜ!!
必要以上に否定したり素っ気ない態度を取るのは、恥ずかしさを隠すためなんだ!
出会った瞬間恋に落ちた、君と俺は相思相愛!
今日こそ君に、俺の熱い想いをお届けしてやるぜ。



「あ、も…もしもし…あ、あさ、朝希さんで、すか…!?」

『うん』

「あの…あの…ずっと…す、す、す、す、きっでした…」

『…で?』

「へっ!?えっ、と…つ、付き…合ってくださひ!」

『いいよ』

「ぅえ!?まじっすか!」

その時部屋の鳩時計が夜中の十二時をお知らせした。十二回目の鳩さんの鳴き声が止まる。

『そんな喜びの絶頂のあなたに質問です』

初めて…。初めて君がそんなに長い言葉を発したのを聞いた…!
彼氏になるなりこんな分かりやすい態度を…!

『昨日は何月何日でしょう』

なんって可愛い質問!さっきの鳩時計のおかげで、日付変更線を通過したことは知っている!悪いが引っ掛かってあげないぞ、俺の子猫ちゃん!

「し、四月…一日…です…」

ふっふっふ。『あ〜ん、もう。引っ掛からなかったぁ〜』って悔しがれ。

『当たり。ね、エイプリルフールって知ってるよねぇ?』

それぐらい知っているさ、ハニー!
エイプリルフール。それは、嘘を付いてもいい日。


ん?


ということは…。


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