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煙煙 -もくもく-
【悲恋 恋愛小説】

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煙煙 -もくもく--2

寝る前やお風呂に入っているとき、トイレに入っているとき、仕事の合間に、
どうやって終わるかをいつのまにか考えしまう。


こんな関係、上手くいくはずがない。結婚を夢見ていたころが恥ずかしい。
自分だけを見てくれる、自分だけを愛してくれる人がいい。
そうであれば、こんな思いはしなくて済む。
自分も与えられる以上の愛を注げるんだ。


でもずるずると関係を続ける自分にうんざりして、激しい自己嫌悪に陥る。
心の下のほうに溜まった鉛が、心をありえないほどの長さに引き伸ばしているような気分になり、
具合が悪くなった。

それでも最近、こんなことを1年続けていたおかげで図太くなってきた。
以前は落ち込むことがあると何も食べれなくなり眠れなくなったが、そういうことはなくなった。
大食いをして、会社に遅刻しそうになるくらい寝る。絶望と希望が織り交ざった自分に酔いしれ、
タバコを吸いながら月を眺める事だってある。
煙で月を霞ませて、それを見ながら何事もないかの如く突然涙を流す。



本当に大馬鹿者と思っているのであれば、そんなことはしない。
関係を絶ってもっとましな道を歩むだろう。

ではなぜ、続けるのか。

やはり好きなのだ。誰かと一緒にいないと駄目な彼には、周りの人にはない「孤独」が見える。
類をみないほどの冷たさを見せることがある彼に、人間臭さを感じてグッと惹きつけられるのである。
馴れ合いから生まれるわけではない優しさを持っている。
まだ社会人として経験の浅いミサトを暖かく見守り、支えてくれる。
与えてくれるものはある。だから一緒に居る。
それでもミサトは、自分のわがままを押し付けていることにわかっていても、
もっともっとと望んでしまう。
そこになぜか理不尽さが上乗せされて憎しみに変わる。


「望んではいけないのか?やってることはいけないことだ。
でもそれ以外は真っすぐに生きている。
こんなに必死に生きたことは今までない。
なのに、なぜ一つも望むものが手に入らないのか?」


歯を磨くために洗面台の前に来ていたミサトは、鏡に映る自分に問いかける。
そしていきなり、とても幸せそうに笑顔になって言った。


「それが、人生なんだよね!」


本当の愛に憧れ、探している。でも手の中にあるのは、燻りくすんだ愛だ。
彼女は本当の愛と罪の意識を煙に巻いて吐き続けている。


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