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coloraffair〜みんなの気持ち〜
【二次創作 恋愛小説】

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coloraffair〜みんなの気持ち〜-1

―また雨だ―
学校から出ると晴れという予報なんかまるでなかったかのように雨が降っていた。
―もう慣れたさ―
そう思ってカバンを傘代わりにするわけでもなく歩きだした。

5分程歩き家の半分あたりまで来た。けっこうこのあたりは盛えているので人通りも多く、さっきからすれ違う人を特別意識するなんてありえない。なのに前から来た白い傘を差した人とすれ違うときはハッとするような感覚がした。急いで振り返ってみる。
―なんかおれと同じ感じがしたな……―

クロのシロへの第一印象はこんな感じだった。

クロは家に着くとすでに妹は帰っていた。
「今日遅いんじゃなかったのか?」
「いや、色々あってね。お兄ちゃんこそいやに早いわね。やっぱ独身は寂しいね〜。」
正直カチンときた。
―言っていいことと悪いことがあるだろ―

つい最近いきなり彼女の―元だな―美衣菜から別れを切り出された。今日高校の入学式から1ヶ月で、美衣菜とは中学の入学式から1ヶ月あたりで付き合い出したから丸3年付き合ったことになる。僕達の歳にしては長続きしていただけあって、別れを切り出されたときは何が何だかわからなくなる程落ち込んだ。いや、まだひきずっている。
あからさまに落ち込んだ僕を見てか
「いや、んなこと言ってあたしのが早かったからね〜」
あはは〜、と絵里衣は愛想笑いをしながら部屋へと入っていった。
―ジュース飲んだら自分でコップくらい洗いやがれ―
妹のコップを洗っているとひどく水が冷たく感じられた。もう5月に入ったにもかかわらず雨が多く、肌寒い。地球温暖化はどこへやら。
―ったくなんでだよ―
さっきの妹の言葉で封じ込めていた怒りだとか哀しみだとかやるせなさが一気に込み上げてきた。自分の感情もこの水と一緒に流せればいいのにと思った。
別れを切り出されたときに理由を聞いてもずっと曖昧な返事を返された。
―このままじゃ真夏に失礼だと思う、今まで本当に好きだった、あたしよりいい人に会えるよ―
だいたいこんな感じの内容だったと思う。
―失礼ってなんだよ。今までの3年はなんだったんだよ―
15歳とは思えないため息が出て我にかえった。水を流しっぱなしにしていることに気付いた。
「考えても仕方ないか」
小さく声に出してみた。声に出したことと気持ちはまるで逆だった。どこかで声に出せば気持ちも変わると聞いたが全く効き目はなかったみたいだ。
コップをしまい僕も部屋に入った。未だに捨てられないでいる美衣菜との2ショットの写真の僕達と目が合う。何回見ても切なさ、いや侘しさが押し寄せてくる。やりきれなくなりカバンを放り投げベッドにダイブした。
―おまえは考え過ぎだろ。最後の恋ってなわけでもないんだし、クロならまたすぐ彼女できるさ―
親友のアカに言われた無責任な言葉が頭に浮かぶ。 ―幼いなりに結構夢中だったんだ、いや夢中なんだよ、今もまだ。他の人なんか見えてこねーよ―
そう僕が反論したところでチャイムが鳴った。それからもずっとこんな感じのやりとりを続けてきた。アカの言うように、僕達は若いし人生の折り返しも迎えていない。だからと言ってあんな別れ方じゃ納得できないし何より本気で好きだったのだ。もうこんなに好きな人は現れることはないんじゃないかというぐらいに。

そんなことがずっと頭の中でぐるぐる回っていたうちに寝てしまっていたらしい。妹がドアの向こうからノックして夕飯の準備はしなくていいのかと聞いてきた。
まだ絵里衣が産まれて間もない頃に父親が交通事故で死んでしまい、今は母親と僕と妹で暮らしていて母親は1日中働いているので家事は僕達2人で順番に回している。そして僕は今日は夕飯の担当なのだ。

台所に立って窓を見ると雨は少し弱まっていた。明日からGWなので―旅行など行くわけないが―なんとなく嬉しかった。


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