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ネコ系女
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ネコ系女 #1-4

【ネコ系女はTPOをわきまえられる】


姫代はまだ子猫をボーッと眺めていたので、急に名前を呼ばれ、間の抜けた声を出した。

「プレート持ってきてください」

「はい」

パタパタと姫代は裏にある冷蔵庫へ向かった。
その間に私はケーキを取り出してピンクのチョコペンを用意する。
うちのチョコプレートはホワイトチョコなので、このように対象者が女の子の場合はピンクのチョコペンで書いてあげていた。

「はい、どうぞ」

「どうも」

私は、慣れた手つきで丸い文字を意識し『ももちゃん』と書いた。

「うお〜上手ですねぇ」

「ありがとうございます」

彼は感嘆の声をあげたが、こんなの慣れてしまえば楽勝。
とりあえずお礼を言って出来上がったプレートをケーキに乗せた。
視界の片隅で「すげぇすげぇ!」と手を叩く人物がいる。
どうもこの人は感動しやすいタイプらしい。
一々反応するのも面倒だったので、今回は丁重に無視させていただいた。
ケーキに合わせた箱に入れて、黒地に金の模様が入った掛け紙をし、リボンを手早く結ぶ。
『くれいむ』と名前の入ったビニールの袋に入れて

「お待たせしました」

彼の前に差し出した。
満足そうに笑う彼のお会計をしていると、ちょうど常連のお客さんが自動ドアの前に立っているのが見えた。ついでに足下に余計なものも見えた気が…。
ウィンと軽い音を立てて自動ドアが開き、呼鈴が鳴る。

「いらっしゃいま─あ」

「あっ!」

私と姫代の声が重なった。

「んぁ?」

変な声を出して何故か彼も振り返った。

『ニア〜ン♪』

「おっ」

「すみません、お客様!」

ドアが開いたと同時に外にいたネコが店内に入ってきてしまったのだ。
ネコは一目散に彼の足下へ走ってきてゴロゴロと甘える。でも彼の足下へ走ってきたのはネコだけではない。

「ほ、本当に申し訳ありません!」

姫代だ。
どうやら途中で捕まえようとして失敗したらしい。
そりゃそうだ、姫代、すっごいトロいもん。
トロいし不器用。
高校の時は新体操部部長で、何でもそれなりに出来る私とは正反対だ。
まぁ、姫代のキャラクターがそれをカバーしているのだけど。


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