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憂と聖と過去と未来
【幼馴染 恋愛小説】

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憂と聖と過去と未来 4-3

***


もう三月中旬だといっても、夜はまだ寒い。

あたしはそんな寒空の下、聖の部屋の前に立っていた。


夕方、おばさんに訊くとやっぱり出かけているらしい。

だからあたしは張り込みじゃないけど、23時頃からドアの前で待つことにした。

結果を伝えたくて。

驚かせたくて。

きっとびっくりするだろうな、帰ってきたらいきなりあたしが立ってるんだもん。


30分ほどで、エレベーターが上がってきた。
エレベーターはあたしの待つ4階で止まる。
カツカツと靴の音が聞こえてきて、ついに目の前にまで来た。

「……うわっ!」
「あははっ!」
「…憂!?」
「ごめんごめん、驚いた?」
「…お前なぁ」
聖の呆れた顔が、廊下の電気に照らされる。
「聖、合否は確認した?」
「…あ、ああ、ネットで」
「…どうだった?」
「…受かった」

やっぱり聖は受かった。

「よかったね!おめでとう!」
「……俺よりお前はどうなんだ?」
「え…うん…」
なんだか心臓が忙しなく動く。
「えへへ!受かったよ!」
あたしはつい大声で言ってしまう。

あたしは受かったのだ。
奇跡としか言いようがない気がしたけど、たしかにあたしの番号は記されていた。

「……そうか」
すると思いがけず、聖はあたしの手を握った。
「…え」
ひどく冷たかった。
「…憂は…なんで俺と同じ大学を受けた?」

いつか訊かれると思っていた。
そのとき、素直にあたしの気持ちを言えることができるだろうか。
そんなことをずっと考えていた。
でも今なら言える。

「悔しかったの…あたしが悪いんだけど、こんなことになるなんて思ってなかった。あたしは聖とずっと一緒だって思ってた。んーん、聖とずっと一緒にいたかったの」
「……」
「あたし、このままじゃ嫌で…わがままだけど、今さらだけど、聖を追いかけようと思ったの。その…やっぱり聖が好きだから!」
まっすぐ聖の顔を見て言えた。
「………」
「きゃっ!」

聖は、無言であたしの手を引いた。
そして、抱きすくめられた。

「……聖?」
そして、聖は耳元で囁いた。
とてもくすぐったくて、一瞬、何を言ったかわからなかった。


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