古からの守り-3
日が傾いき始めた頃あたりだった。
やっとのことで街の大通りに出れた。
日が沈みかけてることもあってか、ほとんどの出店は片付けをしていた。
そんで俺の傍らには…
「おお〜…よく出れたわね」
街を見渡すようにして言う娘。
あれから何かとこいつは後を着けていたのだ。
それで今に至る。
「もういいだろ?あんたもさっさと帰りな」
そう言い歩きだした。
それでも俺の後ろを何回も耳にした歩く音が聞こえる。
俺は立ち止まり振り向いた。
「おい」
「何?」
「何処まで着いて来る気だ」
「残念ながら着いて行ってるのじゃなくて同じ方向なのよ」
そうやって言葉を発する娘は口に妙な笑みを浮かべていた。
その笑みは何かを企んでいるような…そのような感じに思える。
「分かったらさっさと歩く。通行の邪魔になるわよ」
確かに人はまだ結構いるし、ここで止まっているのは少々邪魔になるであろう。
とりあえず俺はこいつの言う通りに城に向けてまた歩きだした。
「ところであんたはあの城になんか用なの?」
「別にお前には関係ないだろ?」
「さぁ…それはどうかしら?」
今度は娘の顔を見ていなかったがまた同じような笑みを浮かべているように感じた。
それからなんとなくこいつの質問に答えた。
「仕事だよ仕事。厄介な護衛って言う名の」
「へぇ〜…それじゃあの国から?」
「その通りだ…。たく…三流国の護衛でのんびりしたかったのによ」
「その分給料がいいでしょ?」
「まぁそうなんだが…金なんてどうでもいい…。別に欲しいものがあるわけじゃないし生きる最低限の金さえあればいいんだ」
金だけあっても楽しくなければ意味がない。
まぁ邪魔になるようなものではないが…俺はそれほど金が欲しいなどと思ったことなかった。
「変わった人ね…。普通護衛の仕事やってる人ってだいたい稼ぎ目的だと思うわよ?」
「そうでもないぞ?俺の連れは、かわいい姫の側に居られて幸せー…って言ってるやつやら…ただ格闘が大好きで護衛学校入れたらいっぱい戦闘訓練ができると思ってなった戦闘馬鹿とか?」
「なんか…キモイわね…」
いつの間にか横に出て来ていた娘は口を押さえて歩いていた。
「それであんたが護衛をやろうと思った理由は?」
「そうだな…ゆっくりできると思ったからかな?」
「…はっ?」
「だってだいたい護衛なんて城の中の兵士がやってくれてるだろ?だからやることなし!って感じに思ったのさ」
「その考えは感服するわね…」
「そいつはどうも」
そうこう会話してたら城の門までやってきた。