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恋愛の神様
【ファンタジー 恋愛小説】

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恋愛の神様・後編-12

「実果?」

祐希と食べかけのフルーツ白玉をほったらかして、立ち上がって慌てて店の外に出た。
確かこの店の隣は―――

見上げるそれは、真新しい建て売り住宅。見た目は記憶と同じで、違うのは『好評分譲中』と書かれた幟がはためいているとこ。

『ここ、俺ん家』

あいつはこの家を親指で示した。表札にも間違なく八代とあった。

忘れていたのは八代の存在。
目が覚めた瞬間、きれいさっぱり消えて無くなった八代。

『祐希とお前と俺で仲良し三人組だろ』

最初にそう言ったのは他でもない八代なのに…
頭をフル回転させた。
でもどんなに考えてもあたし達の思い出の中に八代は出てこない。
あいつがいるのはこの何日間かだけだ。
でもその何日間はなかった事になってて――

あんなリアルな感覚、絶対夢じゃない。こんな不自然な忘れ方もおかしい。まさかあいつが…、でもこんな非現実的な話、自分でも信じられない。もっと確信が欲しい。
軽く触れるだけだったポケットの中のお守りをギュッと握り締めると、

「…え?」

もう一つ、違う物も一緒に手の中に入り込んで来た。
ポケットから手を出して、ゆっくり拳を開いていく。

「――っ」
「実果!!」

丁度お店から祐希が出て来た。

「お前食いかけで出てくなよ、…どうした?」
「祐、希…」
「ん?あ、そうだ。これやるよ」

そう言って祐希が差し出したのは、千代紙でできた小さな包み。

「開店記念の粗品だって。中身はー」
「抹茶味の、飴…」
「そうそう、よく知ってー…って、何でお前持ってんの?」

あたしの手のひらには、祐希が持ってるそれと同じ包みが転がっている。

これ、八代に貰ったんだよ。あたしと祐希にって…
…あの時、祐希もポケットに入れてなかったっけ?

「ちょっとごめん!」

すぐに祐希の上着のポケットをまさぐった。

「うわっ、何だおい!!」

鍵やらガムやらを避けて、沈んでいたそれを取り出した。

「やっぱり…」

出てきたのは全く同じ物。
色形はもちろん、折り筋や僅かな折り目のズレまで寸分違わない。

「えっ、何で俺も持ってんの!?」

互いの手のひらに二つずつ、合計四つの粗品。


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