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恋愛の神様
【ファンタジー 恋愛小説】

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恋愛の神様・前編-7

「お前の頭じゃ一生終わんねぇだろ」
「…」

祐希も同じくプリントを一枚取ってあたしの隣に座る。

「さっさと終わらせて一緒に帰ろ」

ニコッと笑うその顔にこちらの顔も緩む。

「ありがとう、祐希」
「って俺はぃ!?」
「手伝わせてやるからありがたく思え」
「てめ…っ」

結局三人で騒がしく課題をやる事になった。

『お前と祐希と俺で仲良し三人組だろうが』

以前八代はそう言った。
そう、あたしと祐希と八代は仲良し三人組。
それは祐希が女の子になっても変わらない。でも…
たまに感じるこの違和感は何だろう。

ふと隣に目をやると、丁度祐希と目が合って

「何?」
「…何でもないっ」

恥ずかしくなって目を反らした。
女の子になったとは言え、祐希は祐希。
あたしの大好きな人。

女の子の祐希はあたしの気持ちを分かってくれるし、生理痛の重いあたしを気遣ってくれる。何より二人でいるのは楽しい。
たった三日だけど、今までに知り合ったどの女友達より心地良い空間を与えてくれる。
…これはこれで悪くない。

そんな考えが頭を過ぎる事があるのも事実。

この状態になって唯一気に入らない事と言えば、そこに必ず八代がいる事。
こいつは、あくまでもあたし達の間に割って入ろうとするのか。
どこまでも邪魔な奴め。




次の日。
一縷の望みを抱いて登校したけど、相変わらず祐希は女の子だった。
昨日迷惑かけた手前、さすがに今日は午後の授業をサボれない。
また別の方法を考えなきゃなぁ…

「実果?」
「んー…」
「実果!!」
「へっ?」
「最近変だよ。急に黙り込んで、何か悩みでもあるの?」

悩み事の根源は心配そうにあたしの顔を覗き込んだ。

「…恋の悩みよ」
「へぇっ!?」
「そんなに驚く事ないでしょー!?あたしだって好きな人くらい――」
「って誰!?」
「それは…」
「それは?」

あたしの両肩を掴んで詰め寄る祐希から目を反らした。

「内緒」
「えぇ〜、何で?」
「何でも!ほら遅刻するよ」
「ごまかさないでよ、実果ー、あ、八代」

頭上が一瞬暗くなったと思ったら、祐希の言う通り、後ろに八代がいた。

「おーっす、朝からどうした」
「それがね、実果が―」
「祐希!八代には関係ない」
「まーたお前は俺をのけ者にする」

いつも通りヘラヘラとあたし達の間に割り込んで来る八代に、今だけは感謝した。
ほんの少しだけ、泣きそうになったからだ。

あたしの好きな人?
それは祐希だよ。
今更そんな事言いたくない。
好きな人に好きな人が誰か聞かれるのって、想像よりずっとキツい。


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