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『あたしのビョーキ』
【同性愛♀ 官能小説】

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『あたしのビョーキ』-8

「そうだね。けど、島田ちゃんも見習いなよ」

「私はああいう卑怯なこと嫌いです。やるなら正々堂々ぶつかっていきます」

「へー。勇ましいね。でも冷静さを失ういなさんな? 石井にどやされるぜ」

「わかってますよ、それぐらい」

 本当にわかっているのか、彼女はぷりぷりしたままベンチの片付けに戻る。
 あたしは一足さきに荷物を纏めていたので、面倒な後片付けは後輩に任せてお先に失礼することにする。

 ……と、思ったら、受け子があたしを睨んでいた。
 にらまれるようなことをしたか? と右目で天井を見るが、思い出すのはほんのり柔らかいおっぱいの感触と、嫌いなシトラスの匂いだ。まあ、充分怒らせることしてたか。

「五番の人、ちょっといい?」

「あたしは恵、赤城恵っていう立派な名前があるんだけど? 受け……じゃない、六番の人?」

「そう、なら私は佐伯芳江って名前があるの。よろしくね、恵」

 厳密には初対面じゃない。けど、今話したばかりの相手を呼び捨てにする彼女に、あたしは失礼な奴と思いつつも、語尾を上げた声に、どこかエロスを感じていた。

***―――***―――***

 大河原の更衣室は結構広い。それに綺麗で鍵もかかる。不思議なのは何故そんなところに連れ出されたかだ。

「シャワー浴びる?」

「ん、あ、あたしはここの生徒じゃないから」

「平気よ。皆使ってるし」

 彼女の言う皆が誰かは知らないけど、ゴミ箱に見える使い捨ての樹脂製品で想像できる。

「で、用件はなに? あたし後片付けあるんだけど」

「一年生に任せてなかった? っていうか、恵、私に何か言う事無いの?」

「ないよ」

 悪びれる様子もなく、というか、心当たりがないあたしはぶっきらぼうに答える。

「試合中、人の胸揉んでおいて?」

 受け子は胸の前で手を組んであたしをキッと睨む。でも、揉んでっていうけど、芳江が触らせてきたんじゃん。まあ楽しませてもらったけど。

「試合中の事故じゃない? っていうか、アンだけラフプレーしておいて、オッパイ触られて怒ったの? だったらゴメン。ウブな芳江にセクハラしちゃって……」

 試合後にまで舌戦を仕掛けてくるなんて面倒な子。受け子のクセに攻撃的なのね。
と、思ったら、芳江は下を向いてモジモジしてるけど、どいうことだ?

「怒ってるっていうか、その、ちょっとびっくりして、それで……」

 練習に明け暮れているだろう彼女だが、意外と日に焼けていない。文系と比べればそれなりだけど、あたしと比べるならまだ白い。それに無駄に筋肉がついてないし、ずっと女の子してる。あたしはそうする気がないんだけどね。

 でも……可愛いよね、芳江。つか、もろ好み。二の腕が柔らかそうなのってダメなんだよ。女の子の一番の魅力ってさ、やっぱ柔らかさだと思うんだ。あたしの推理じゃそうなるんだ。


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