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ある季節の物語
【SM 官能小説】

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ある季節の物語(冬)-4

 …ねえ、あなたケイコのこと覚えている…

 …えっ、ケイコって誰だっけ…ああ、ケイコか…彼女、どうかしたのか…



 違うわ…きっと別の男に決まっている…

でも、私は胸に抱く疑念を否定しながらも、浴室から出た裸のアキヒコの鎖骨にあるホクロを見
ていた。そして激しい疼きに似た期待を抱き始めていたのだ。




 …え、こんなものケイコに貸していたかしら…

ケイコがハンドバックから取り出したものは、私の高校時代のピアノ発表会を録音したCDだっ
た。


 …懐かしいわ…ケイコ、大事にとっておいてくれたんだ…




マンションの外は雪が烈しく舞っていた。
部屋のステレオからショパンのノクターンがゆるやかに流れていた。私は久しぶりに熱い紅茶を
口にしながら、あのときカフェでケイコから返してもらったCDを聞いていた。

私が高校三年のときのピアノ発表会の録音だった。あのときアキヒコとケイコも会場に来てくれ
たのだ。

 

 そして、私が弾く懐かしいピアノの音が、一瞬途切れたときだった…。



 …ううっ…


 …ビシッ…あうっー… 


突然、音楽が中断すると、鞭が空を切り、しなるような音と女の悲鳴に似た喘ぎ声が、耳鳴りの
ように私の中に広がっていた。                                          


 …ほっ、ほしい…早く、欲しいわ…アキヒコさん…お願い…


確かにその女の声が、アキヒコという名前を口にしたのだ。そしてその声はケイコのものだった。
  


 私はその夜、ふたたび夢でうなされた。


男のペ○スを哀願する女の搾り出すようなよがり声…まるで目の前に餌を垂らされた飢えた雌犬
のように男の前で跪いた女は、その後ろ手に縛られた体を悶え、嗚咽を洩らしながら無性にその
男のものを欲しがっていた。

男の鞭が女の背中に激しく撥ねる…ぶるりとその縛られた乳房が揺れ、女は愉悦に充ちた悲鳴を
あげ、体を仰け反らせた。
女のその唇が小刻みに震える。そして舌を伸びきらせてその男の屹立したペ○スの亀頭を必死で
咥えようとする女…。



 女は、ケイコだった…そして振り向いた男の顔は確かにアキヒコだった。


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